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森林伐採

森林伐採で進む砂漠化の影響と対策

森林伐採で進む砂漠化の影響と対策

世界の一部地域では、森林伐採により土地が砂漠化し、生息していた生物が絶滅するなどの苦境に陥っています。

今回は、森林伐採による砂漠化の現状や影響、砂漠に森林を取り戻すための取り組みなどをご紹介します。

1.森林伐採による砂漠化の原因

世界では、熱帯雨林を中心に、森林伐採などが原因で年間730万haの森林面積が減少しています。木材として使用するための伐採であれば、植樹などで補うことができますが、農地利用や過剰な伐採は砂漠化の危険があります。

森林伐採による砂漠化は、木々の減少により地中の保水力がなくなり、その後に雨水が土を流してしまう「水食(すいしょく)」が原因で起こります。

土にも水を蓄える力がありますが、雨のたびに流されてしまうと、その土地の保水力はどんどんと低下し、やがて岩肌が露出するほど土がなくなり、植物も生えない土地になります。

このように、一度砂漠化してしまうと、その土地に緑を取り戻すことは難しくなります。砂漠化の原因は、気候的要因・人的要因など様々ありますが、気候変動よりも人間が生活するための行いが大きな影響を与えています。

次の章では、世界でも特に砂漠化が顕著な地域をいくつかご紹介します。

2.世界各地の砂漠化の現状

現在、世界で森林伐採による砂漠化が著しい地域は、アフリカ、オーストラリア、東南アジアです。ここでは、これら地域の砂漠化の現状を見ていきましょう。

アフリカ

アフリカ大陸の中でも、特に中部・西部に熱帯雨林が集中していますが、これらの地域は人口が増加し、現在もハイペースで森林が伐採されています。

アフリカでは、食料や燃料を確保するために伐採が行われ、伐採後には焼き畑が盛んに行われます。焼き畑農業は伐採した樹木などを燃やして肥料としながら作物を栽培する手法で、肥料がなくなると別の場所に移動します。

通常であれば、その間に植生が回復し、再び焼き畑として利用できるようになりますが、人口増加による食料不足から、休耕期間を短縮し土地が復元する前に耕作しなければならない状況に陥っています。

そのため、徐々に土地の養分がなくなり、植物が育たない砂漠が広がっています。

オーストラリア

オーストラリアでは、ユーカリ林をはじめとする自然植生を伐採し一年生作物の農地や牧草に転換したことが要因で、塩害による砂漠化が深刻となっています。

植生の転換によって植物の放出する水蒸気量が減少し、土地の水分バランスが崩れ、地下水位が上昇してきました。これにより、塩分を含んだ地下水が蒸発する場所が地表に生まれ、蒸発時に残った塩分が土壌表面に集積し、塩害が発生しています。

公益財団法人国際緑化推進センターによると、塩害のリスクに晒されている農地面積は2000年時点で465万haあり、2050年には1366万haまで拡大すると予測されています。

東南アジア

東南アジアでは、焼き畑に加え、木材の輸出増に伴う過伐採が原因で、現在も森林の減少と砂漠化が進んでいます。

東南アジア諸国では、違法伐採の取締強化や輸出規制など、森林保全の取組みも増えていますが、日本、アメリカをはじめとする先進国や、中国、インドなど新興国からの需要も多く、輸出増に対応するための伐採が収束する気配はありません。

3.砂漠化による影響

ここからは、砂漠化が地球環境にどのような影響を与えるかを見ていきましょう。

生活環境の悪化

砂漠化によって土地が劣化すると、これまで森林伐採により、作物や家畜の飼料、日用品、燃料などを賄っていた地域の生活環境が悪化します。

森林に依存して生活しているアフリカの開発途上国では、この問題が特に深刻化しています。土地の劣化に直面した住民が、生活のために手つかずの森林に過剰伐採を行い、砂漠化を加速させるという悪循環に陥っています。

気候の変化

砂漠化は気候にも影響を与えます。砂漠化した土地は、地表からの水蒸気が減少し、地表と大気の温度が上がり、その温度差も少なくなり、雲が生まれにくい環境になります。

そして降雨量の減少により、さらに土地の乾燥化が進行します。

また、大規模な干ばつとエルニーニョなどの自然現象は同時に起こることが確認され、現在研究が進められています。

生物多様性の損失

前の章でご紹介したように、オーストラリアでは、森林伐採した土地の塩害による砂漠化が深刻となっていますが、その影響などもあり、固有種のコアラの生息数が激減しています。

コアラは絶滅危惧種にこそ指定されていませんが、オーストラリアコアラ基金の研究報告では、2010年までの6年間でコアラの生息数は10万頭から4万3千頭弱まで減少し、このままいくと30年以内に絶滅する恐れがあるとされています。

州や都市ではコアラを危急種に指定するところもあり、全国レベルでコアラを”絶滅危惧種”に認定するように政府に提言する活動が活発化しています。しかし、その生息地を保護できる法律がなく、大きな課題となっています。

このように多くの生物が、森林減少後の環境変化に順応できず生息数を減らすことが予想されており、砂漠化は生物多様性に多大な悪影響を及ぼしています。

4.砂漠に森林を取り戻すための取り組み

加速度的な森林減少を危惧し、世界では森林を取り戻すための施策が進められています。世界と日本で実施されている取り組みをご紹介します。

世界の取り組み

世界の深刻な砂漠化と森林伐採について、1994年に「深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)において砂漠化に対処するための国際連合条約(砂漠化対処条約)」が採択されました。

これは、砂漠化や干ばつの影響が大きい発展途上国に対して、先進国や国際機関が砂漠化防止や被害緩和のための行動計画を作り、技術や資金を支援しようという取り決めです。

これらの継続的な取り組みは着実に成果を挙げています。

例えば、アフリカのサヘル地域では、農家管理による自然再生により荒れた土地が回復し穀物生産量が増加、ブラジルやインドネシアなどでも森林保護と両立できる農法が普及し成果が確認されています。

日本の取り組み

日本は砂漠化対処条約の先進締約国として、砂漠化が進行する発展途上国に対し、国際機関への拠出、二国間援助、NGO支援を通じた草の根レベルの協力などを続けています。

具体的には、日本の外務省は、セネガル、ニジェール、タンザニアに専門家と青年協力隊で構成された5~10人程度のチームを派遣し、乾燥に強い樹種の育苗、農村住民へ植林運動の技術指導などを実施しています。

環境省では、アフリカのブルキナファソで、地下水有効利用施設を利用した給水や植林を進めながら、地域住民が参加できる持続可能なコミュニティ形成を考慮した砂漠化防止対策モデル事業を展開しています。

これらの取り組みは各省庁が単独で行っており、十分に組織化されているとは言えません。関係機関が果たすべき役割を整理し、砂漠化防止対策の体系化を図ることが求められています。

5.まとめ

アフリカなどの発展途上国を中心に、森林伐採による砂漠化が現在も世界で加速しています。

砂漠化が進んでいる地域は、人口増加による食料や燃料の不足からやむを得ず伐採しているなど、解決の難しい問題が背景にあります。

森林伐採による砂漠化の進行は、さらなる生活環境の悪化や世界的な気候の変化、生物多様性の損失などを引き起こしています。

砂漠化対処条約をはじめとした、先進国からの計画・技術・資金の継続的な支援が今後も必要とされています。

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