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森林の回復と持続性を両立させる植林とは SDGs~目標15.陸の豊かさを守ろう~

森林の回復と持続性を両立させる植林とは SDGs~目標15.陸の豊かさを守ろう~

世界では、森林減少が加速しています。無計画な森林伐採や農地利用はもちろん、気候の変化や管理不足による森林火災も大きく影響しています。

近年あった大規模な森林火災は、2019年にオーストラリアで発生したもので、280日間燃え続け日本国土の1/3に当たる10万㎢以上の森が失われました。

森林が減少すると土地が劣化し砂漠化するため、森林の回復がより一層難しくなりますが、森林の減少や砂漠化の主な原因は人間の経済活動にあると考えられています。

今回は、世界の森林減少と砂漠化の現状、森林と土地の回復を促す植林の技術、私たちが森林回復に参加できる制度などをご紹介します。

1. SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」とは

SDGsとは、2015年に国連で採択された持続可能な世界を実現するための国際目標です。2030年までに世界が達成するべき17の目標と具体策となる169個のターゲットで構成されています。

15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」では、減少を続ける森林と土地の劣化について触れています。

15-2:2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
15-3:2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。

※一部抜粋

森林減少を阻止するとしたターゲット15-2は2020年が期限となっていますが、2015年以降の森林減少率はさらに増加しており、状況は芳しくありません。

SDGsが阻止を掲げているにも関わらず、森林減少が止まらない原因はどこにあるのでしょうか。森林や土壌を回復させる術はあるのか、次章から詳しく見ていきましょう。

2. 世界の森林減少・砂漠化の現状

まずは、現在の森林減少、砂漠化の状況を確認してみましょう。

国連食糧農業機関(FAO)の発表によると2015年時点の世界の森林面積は約39.9億ヘクタール、全陸地面積の30.6%に相当します。

中国やインドなどで活発な植林活動が行われる一方、ブラジルやインドネシアなどでは熱帯林の減少が加速しており、2018年における世界の森林減少率は430万ヘクタールに上ります。2013年の年間平均が300万ヘクタールであったため、実に44%増加していることになります。

森林が減少すれば砂漠化も進行します。

砂漠化とは、砂と化した土地のことではなく「土地の劣化」を指す言葉です。気候変動による干ばつの他、無計画な森林伐採や農地転換による塩害、汚染が土壌を痛め、森林の回復を難しくしています。

3. 世界の森林減少・砂漠化の主な原因

なぜ、森林減少や砂漠化が進んでいるのでしょうか。主な原因を3つ確認していきましょう。

原因①.森林伐採

世界で伐採される木材の半分は燃料として使用されますが、世界的な人口増加、経済発展により需要が増加し、警察の目が行き届かない途上国では違法伐採が横行しています。実際、日本が多くの木材を輸入しているインドネシアでは、73%の木材が違法と推定されています。

こうした違法業者による過剰な伐採や森林保全を考えない行為は、森林減少に大きな影響を与えています。

原因②.農地転換、化学肥料の使用

バイオマス燃料や家畜の飼料ともなる穀物は、人口増加や経済発展による肉食文化の普及から生産量の増大を求められています。そのため、森林の農地転換や焼き畑農業の短期化が起こり、森林減少と土地の劣化につながっています。

焼き畑農業は本来、数年の農地利用のあとは森林に戻すという、持続的な農法でしたが需要の高まりから回復を待たずに再利用を繰り返し、土地の栄養分がなくなり放棄され砂漠化するという事態に陥っています。

原因③.気候変動による森林火災

気候変動による高温化と乾燥によって森林火災が世界的に増加し、その焼失面積は森林伐採を超える勢いで伸びています。日本でも年間1200件を超える山火事の報告があります。

気候が原因になる森林火災は、乾燥や強風などの摩擦で自然発生するため、熱帯雨林よりも乾季がある北方や地中海地域の森林で起こりやすいとされています。

このように、森林の減少と砂漠化はいずれも人間の経済活動や環境汚染に端を発しています。森林の多くは途上国にありますが、消費を続ける先進国の責任も大きいのです。

失われた樹木や土地の回復、森林を持続させる運営方法として、様々な分野に配慮した植林が積極的に進められています。

4.森林の回復と持続性を両立させる植林とは

森林の自然回復には100年かかるといわれています。減少スピードを考えれば急ピッチでの植林が必須と言えますが、植林した森を持続させるためには、現存する自然環境と地域社会に対してあらゆる配慮が必要です。

ここでは、森林の回復と持続的な森林運営を考えた植林のポイントを5つご紹介します。

①.植林後も考えた長期計画をたてる

一般的な森林保全団体の砂漠緑化植林のスケジュールでは、地域住民との調整から植林後のメンテナンスまで5年以上をみています。

地域住民が自ら森を育て、管理できるように、数年をかけて丁寧に理解を促し、技術指導をしているのです。

②.現存する自然生態系を転換しない

生物多様性を守るため外来種の利用を控えることも重要です。在来種の遺伝子汚染が起きないように地域の動植物に対する遺伝子レベルの調査と配慮が植林には求められます。

同じ種の地域系や土壌の微生物まで調査がなされるため、容易な作業ではありません。

③.地域住民の利害関係、生計手段に配慮する

森林減少には地域住民の生計が大きく関わっているため、住民の生活を守ることが森林保全にもつながります。その手段の一つにアレグロフォレストリー(森林農法)があります。

アレグロフォレストリーとは、植林と同時に農業や家畜の飼育を行う手法で、ブラジルではコショウやカカオ、パッションフルーツなどが栽培され、経済の活性化とともに森の再生にも成功しています。

④.荒廃した土壌に合う樹種を探し、試験をする

廃棄物や化学肥料で汚染された土壌に植林する場合は、在来種の中からその土壌に耐性のありそうな樹種を何種類か探し出してモデル林を作ります。

その林の成長量や適した管理方法などのデータを取りながら、汚染土壌に適した樹種や植栽方法を地域の経済事情なども踏まえながら検討するという、膨大な手間と年月が必要とされる作業です。

⑤.植林地の防火対策

一旦、森林火災が発生すれば膨大な面積の自然環境が失われるため、多発する火災に備えて新たな植林には防火対策が必須となっています。

植林の初期段階から防火帯を取り入れる、乾季のはじめに人為的に火入れをして地表の可燃物を除去するなどの不燃対策のほか、衛星画像やドローンを活用した早期発見システムの開発や設置が検討されています。

5.私たちが森林回復に参加できる森林認証制度

地球規模で大きな影響をあたえる森林問題に対して、私たち個人にもできる「森林認証制度」をご紹介します。

森林認証制度とは、適切な管理がされた森林の木材やその製品に認証マークをつけて、消費者が持続性に配慮した商品を選べるようにする制度です。

世界各国に様々な種類の森林認証制度がありますが、国際的な認証はFSCとPEFC、日本ではSGECがあります。私たち消費者がこのような認証マークの付いた商品を積極的に選ぶことが、森林保全に力を入れる企業や団体の支援になり、ひいては森林を守ることにつながります。

森林管理協議会(FSC)

FSCは、世界共通の原則・基準に基づいた森林認証制度です。国や地域の実情に即して、会員による民主制で森林管理の規定を定めています。

認証された林由来の原料のみで作られた製品はFSC100%、管理木材と混ぜた製品はFSCミックス、再生原料の製品はFSCリサイクルなどのラベルがついています。

森林認証プログラム(PEFC)

PEFCは、林業関係企業や個人、政府、労働組合、環境団体、NGOなど多くの利害関係者の参加に基づく制度で、世界の森林の85%をカバーする森林認証制度の国際統括組織です。

現在、日本を含めた34カ国が参加し、木材、紙製品、林産物などのPEFC認証品の他、再生原料と管理木材で作られたPEFC認証製品などがあります。

緑の循環認証会議(SGEC)

SGEC は、PEFCに認証された日本の森林認証制度です。日本の持続可能な森林運営や自然環境の保全のために設立され、一般社団法人緑の循環認証会議(SGEC/PEFCジャパン)の他、森林所有者、林業関係者、加工・販売関係者などを含む関係団体が運営に参加しています。

6.まとめ

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」では森林減少や砂漠化を食い止め、森と土壌の回復を訴えていますが、厳しい現状が続いています。

森林火災の頻発、農地開拓、違法伐採などによって加速する森林減少への対策として様々な植林手法が注目を集めています。

しかし、持続可能な森をつくるための植林は、地域の生態系、社会生活に深く配慮しながら行う必要があり膨大な手間と時間が必要です。

私たち一人一人が森林認証制度などを利用して、積極的に森林保全を支援する社会に変えることが求められています。

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