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日本女性のエンパワーメント推進の課題と改善に向けた取り組み SDGs~目標5.ジェンダー平等を実現しよう~

日本女性のエンパワーメント推進の課題と改善に向けた取り組み SDGs~目標5.ジェンダー平等を実現しよう~

女性の社会進出が世界的に進んでいますが、日本は先進国であるにも関わらずこの分野では深刻な遅れをとっています。

日本人女性の立場や待遇に対する不平等さは他国でも話題に上がる程であり、早急な改善が求められています。

今回は、女性のエンパワーメントを掲げるSDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」と、日本女性の権利向上や政治参加の現状について解説していきます。

1.SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)」は、持続可能な世界を実現するための17の目標と、その目標を達成するための細かなターゲットが設けられています。

「地球上の誰ひとりとして取り残さない」を誓うSDGsは、5番目の目標として、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを設定しています。

SDGs上でいうエンパワーメントとは「権限を与える」「能力開花・成長を助ける」といった意味合いで使われています。

目標5に設定された以下のターゲットは、日本女性の権利保護や社会進出に大きく関係する項目です。

・5-4:各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
・5-5:政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する。
・5-a:女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ、および土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。
・5-c:全ての女性・女児のあらゆるレベルでのエンパワーメントのための適正な政策・拘束力のある法規を導入・強化する。

※SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」より抜粋

男性の家事参加時間が短く、女性リーダーが少ない日本には耳の痛いターゲットもあります。日本の女性をとりまく社会事情を具体的に見ていきましょう。

2.ジェンダー・ギャップ指数で見る日本の男女格差

ジェンダー・ギャップとは、男女の違いから生じるさまざまな格差のことを指します。世界経済フォーラム(WEF)が2019年に発表した「ジェンダー・ギャップ指数2020」によれば、日本の順位は世界153カ国の中で121位でした。

ギャップ指数調査は、経済、政治、教育、健康の4つの分野から採点され、「平等」から「最低」まで1~0の数値(スコア)で表されます。

日本の総合スコアは0.652点。1位のアイスランド0.877点と比べて大きな差があることが分かります。

日本のスコアを分野別にみると、以下の通りです。
・健康0.979点
・教育0.983点
・経済0.598点
・政治0.049点

健康と教育が高い数値を示しているのに対し、経済と政治が低迷しています。特に政治分野のジェンダー指数が極端に低く、日本全体のジェンダー・ギャップ指数を大きく下げる要因となっています。

また、健康、教育の指数が高いと言っても分野別の世界順位から見れば、健康40位、教育91位ですから世界基準で見ればまだまだ低い位置にあるのです。

女性の社会進出には、少子高齢化による労働力不足の解消や経済成長への貢献など多くのメリットがあります。それにも関わらず、なぜ日本では女性の社会進出が進まないのでしょうか。

ジェンダー・ギャップ指数のスコアが低い、経済と政治の観点から見ていきましょう。

3.日本女性の社会進出を阻む要因

男性と平等な女性の権限や社会参加を難しくしている要因が経済と政治にあることは、ジェンダー・ギャップ指数からみても明らかです。その問題を詳しくみてみましょう。

無報酬労働の負担

最大の要因とされているのは無報酬労働です。家庭内の料理や掃除、買い物、介護、子育てといった労働はすべて無償で行われますが、いまの日本では、その大半を女性が担っています。

経済協力開発機構(OECD)のデータによると、日本の無償労働の1日平均は、男性の1時間1分に対し、女性は4時間59分と、3時間58分の差があり、5倍もの開きが見られます。他のOECD加盟国では男女間の差が平均52分であるため、OECD29カ国と比べて日本は約4.5倍もの大きな男女格差があるといえます。

無償労働に多くの時間を取られることが、女性の社会進出や成長の機会を少なからず奪っているのは間違いありません。

賃金格差

2017年の日本の男女間賃金格差は24.5%、これはG7と呼ばれる主要先進国では最下位の数字です。29カ国あるOECD加盟国の中でも韓国に次ぐワースト2位。

アルバイトやパートの時給に大きな男女差はありませんが、正社員の給料差が大きく、厚生労働省のデータでは、女性社員の賃金は男性社員の75%程度だとされています。

日本企業は古くからの慣習で、勤続年数によって給与が上がる年功賃金制度を採用しており、今でも企業の約半数を占めています。また、役割・職務給を導入していても現実的には年功序列となっている企業も存在します。

年功賃金制度では、出産や育児などで休職期間が生じる女性の給与が相対的に下がってしまうことが要因だと考えられています。

このシステムは、給与が少ない女性は家庭を守り、給与の高い男性が社会で働くといった、無償労働負担のバランスを偏らせる原因でもあります。

管理職比率の低迷

世界的に見ても日本は女性の管理職比率が低くなっています。人材派遣会社エンワールド・ジャパンが行った調査によれば、外資系企業における女性管理職の比率が10~29%なのに対し、日系企業は10%未満にとどまっています。

政府は2020年までに女性の管理職比率を30%にまで引き上げるという目標を立てていましたが、2020年3月時点での達成率は外資系企業が17%、日系企業が8%と、いずれも未達成となっています。

低調な政治参加率

日本の女性国会議員(衆議院)の比率は2019年1月の時点で10.2%。世界の女性国会議員の平均値24.3%に遠く及ばない数値となっています。

国政に女性を増やすためには、予備軍となる地方議会に女性がいることが不可欠ですが、いまだに土着権力が強い地域もあり「女が政治に口を出すな」といった声も珍しくありません。

47都道府県の知事を見ても、女性知事が誕生したのは7都道府県に過ぎず、2020年現在の現職知事では山形県の吉村美栄子知事と東京都の小池百合子知事の2人しかいません。

女性政治家の不足によって女性目線の環境づくりが進まず、女性の権利向上や社会進出が進まないといった悪循環を生んでいます。

4.女性のエンパワーメントを後押しする「女性活躍推進法」とは

このような現状を打開するため、2016年に安倍内閣が成長戦略の柱として施行したのが「女性活躍推進法」です。

女性活躍推進法は国や自治体、企業といった事業主に対して以下の3つの項目を遵守するように定めています。

①女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用と、性別による固定
的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮が行われること
②職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により、職業生活と
家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること
③女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきこと
※厚生労働省「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要」より抜粋

当初、301人以上の企業に対する義務とされていましたが、2019年に見直され現行法では101人以上の企業に範囲が拡大されています。

女性活躍推進法に積極的に取り組んでいる企業は「えるぼし認定」、「なでしこ銘柄」といった認定対象になり、投資家に優良企業として紹介されるなどのメリットが得られます。

さらに公共調達や融資、助成金の面でも優位になるなど、国が力を入れて取り組んでいることが分かります。

世界的に環境・社会・企業統治を重視する企業に対して行う投資(ESG投資)が拡大しつつある中で、女性の活躍状況は非常に注目されています。

積極的に女性活躍推進に取り組むことは、人材不足を解消し、経営面でもプラスになると期待されていますが、現在の女性の活躍状況を見る限り、企業対策として十分とは言えません。

5.まとめ

ジェンダー・ギャップ指数が示す通り、日本の女性管理職割合10.9%という数字は、欧米諸国はもとより、フィリピンの48%、マレーシアの20%と比べても非常に低い数字です。

無報酬労働の負担の大きさや、年功賃金制度による給与格差、女性の管理職や政治リーダーの少なさなどにより、女性の社会進出が低迷しつづけている現状があります。

政府は女性活躍推進法など、女性の積極採用や家庭との両立ができる環境整備を推奨していますが、依然として低い水準となっています。

日本は、女性のエンパワーメントを訴えるSDGs目標5を真摯にとらえ、さらなる底上げ策を打つことが必要です。

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