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製造現場

工場で残業が常態化する理由と5つの解決方法

工場で残業が常態化する理由と5つの解決方法

2018年の総務省の労働力調査によると、「週労働時間が49時間以上の者」の割合がイギリス11.5%、フランス10.1%、ドイツ8.1%に対して日本は19.0%であることがわかりました。このように他の国と比べると、日本は平均労働時間が長い傾向にあります。

GDPの2割を占める製造業も例にもれず、労働時間が長く残業が問題視されています。

今回は、工場で時間外労働が増える原因と主な5つの解決方法をご紹介します。

1.工場で残業が増えてしまう原因

まずは、工場で残業が増える背景から確認していきましょう。

製造業における人手不足

少子高齢化に伴い日本の労働人口は減少していますが、製造業における若年就業者(34歳以下)数及び比率も減少の一途をたどっており、人手不足が進んでいます。

特に従業員数が300人未満の中小企業でその動きは顕著で、長期的に減少傾向にあります。ものづくり白書(2019年)では、2000年に10万人以上いた製造業への新規学卒入職者が2016年には6万人を切っていることがわかりました。

労働力が足りないと1人が担う業務量が増え、時間内に終わらない業務を残業してまかなう人が増えてしまいます。

残業を当たり前と考える風土

バブル期から日本の残業時間は徐々に減少していますが、その時に働いていた人の中には今でも残業をポジティブに捉える人が少なくありません。

残業に否定的ではない上司がいると職場の雰囲気から帰りづらいと考える部下が増え、残業が慢性化してしまう要因のひとつになります。

生産能力を把握していない

工場がどのくらいの生産能力があるのかという現状を把握していないと、残業につながる可能性があります。

例えば、1日に100台の自動車を生産できる工場で1日100台の受注があれば、生産能力に合った受注量であると言えます。しかし、1日に120台の受注になると、生産能力を超えた20台分は残業して補填するしかありません。

もし生産能力を把握していれば、生産能力を超える受注は行わない、あるいは作業の効率化により生産能力を上げるといった対策を打てますが、生産能力を認知しないまま稼働させると残業の原因となってしまう可能性があります。

労働時間で働きを評価している

日本では裁量労働制の導入が進んでおらず、労働時間で賃金が支払われるシステムが一般的です。特に工場では時間あたりの生産性が測りやすいため、労働時間でその人の働きを評価する仕組みが定着しています。

そうすると、会社が作業員の働きを勤務時間以外で評価する制度が育たず、残業すればするほど会社への貢献度が高いと判断され、自主的に残業する社員も増えてしまうのです。

業務の見える化ができていない

その人しかできない仕事があると、特定の従業員の負担が増え、結果的に残業が増える原因になります。

どの従業員がどの業務をしているのかを洗い出し「業務の見える化」を行えば、管理者がチーム内で仕事を融通して、特定の社員に仕事が集中するのを防げます。

一方で、「業務の見えない化」を放置してしまうと、1人の業務量が増え、非効率な残業につながる可能性があります。

2.残業を減らす5つの方法

それでは、工場で残業を減らすためには具体的にどのような方法を行えば良いのでしょうか。ここでは、工場で実行できる主な方法を5つご紹介します。

5Sを徹底する

工場の環境改善に用いられる5S活動は、残業削減にも役立ちます。5Sとは整理・整頓・清掃・清潔・しつけの頭文字をとったもので、以下のような取り組みを指します。

・整理:部材や工具を分類し、いらないものは処分する
・整頓:部材や工具を取り出しやすいように配置する
・清掃:掃除を通して清潔な状態に保つ
・清潔:整理、整頓、清掃を日々行う
・しつけ:整理、整頓、清掃、清潔を社員に共有する

5S活動の徹底は、作業現場や仕事のムダを省き、作業の効率化に役立ちます。

より効果的に5S活動を行うには、リーダーを指定して定期的に工場を点検させると良いでしょう。点検中の「なぜこう配置しているのか」、「なぜ分類していないのか」といった疑問は、昔からの非効率な習慣やムダの発見につながります。

多能工化を行う

多能工化とは「マルチスキル化」のことで、一人が1つの業務を担当するのではなく、複数業務を遂行できるように育てることを表します。

一人が1つの業務だけを行う「単能工」では、できる作業に偏りが生まれ、一部の社員の負担が大きくなってしまいます。これでは案件によって特定の部署や担当へ業務が集中し、社員ごとの残業時間にもギャップが生じてしまいます。

多能工化を進めれば、社員の業務負担が平等に近づき、一人当たりの残業時間も削減できます。

残業を上司に報告させる

残業の事前報告制度も時間外労働の削減に効果的です。時間外労働をする場合は、次の内容を書いた申請書を管理職に提出するようにします。

・残業理由
・残業予定時間
・残業内容

管理職はこれらの内容から残業が必要かを確認し、不要であれば翌日の業務に回すよう指導します。また、申請内容を集計し、どの部署がどんな理由でどれくらい時間外労働をしているのかといった実態を把握して、残業削減への取り組みに活用しても良いでしょう。

ノー残業デーを作る

2011年に厚生労働省が行った1カ月の実労働時間に関する調査によると、ノー残業デー未実施の企業の実労働時間160時間未満の割合は15.5%だったのに対し、実施企業は27.7%と、ノー残業デーを導入した企業の方が実労働時間が短いことがわかりました。

ノー残業デーとは残業禁止の曜日を決める取り組みのことですが、社内一律で曜日を決めるのではなく、従業員が好きな曜日にノー残業デーを決定できるようにすると、周囲を気にせず帰りやすくなるためより実効性が高まります。

加えて、各自のノー残業デーを社員同士で共有できるようにすれば、チーム内で重複しないよう調整でき、業務への影響を最小限に抑えられます。

労働時間を人事評価に組み込む

人事評価制度に残業時間の目安や業務改善への取り組みを取り入れると、社員の時間外労働削減への意識が高まり、残業時間改善に有効です。

また、管理職の評価項目にも部下の時間外労働に関する項目を組み込めば、トップダウンでも業務の効率化が行えるため、時間外労働の適正化につながります。

3.自分の工場に合った取り組みを

今回は、主な残業の増加原因をご紹介してきましたが、それぞれの工場で生産体系や人材、抱える課題などが異なるため、一概には言えません。

まずは自身の工場の課題は何かを洗い出し、その課題に合った解決方法をとるようにしましょう。

4.まとめ

日本は他の国と比べて残業時間が長い傾向がありますが、製造業も例外ではありません。

工場では人手不足や労働時間で働きを評価するといった背景から残業が慢性化しやすいと考えられます。

解決するためには、5Sの徹底、多能工化、残業の申請制度、ノー残業デー、人事評価の改善などが有効的ですが、工場によって残業の原因は異なるため、自身の工場の現状をしっかりと把握した上で残業削減に取り組むようにしましょう。

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