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水質汚染

日本の水質汚染の歴史とその原因

日本の水質汚染の歴史とその原因

日本は全国的に水が綺麗な場所が多く、水道水を安心して飲むことができるので、水質汚染とはあまり関係がないと思っている人も少なくないでしょう。

しかし、日本でも水質汚染による生態系の破壊や健康被害は起こっており、解決の目途も立っていません。

そこで今回は、日本の水質汚染による歴史や原因、国内で実施されている水質汚染対策などをご紹介します。

1.日本の水質汚染の歴史

水質汚染の原因を明確化する前に、まずは日本の水質汚染の歴史を紐解いていきましょう。

日本において水質汚染が最も問題となったのは高度成長期ですが、水質汚染による健康被害が最初に確認されたのは明治時代の「足尾銅山鉱毒事件」まで遡ります。同事件では、銅山から排出された鉱毒が渡良瀬川下流の農作物や農民、周辺の環境に多大な被害を与えました。

鮎の大量死からはじまり、田畑は数年間収穫不能、山林の荒廃による土砂流出、度重なる洪水。こうした背景から、住民が被害を訴え続け、いくつかの対策がなされましたが問題は解消されず、抜本的な改善策となる「渡良瀬川沿岸農業水利事業」に至るまで、86年の歳月がかかりました。

このような事例があったにも関わらず、日本は飛躍的な産業復興や経済発展に伴い工業化と都市化が進み、大都市を中心に水質汚染は拡大の一途を辿ります。

高度経済成長期に入った昭和30年代にはイタイイタイ病や水俣病が社会問題となり、これを機に旧水質二法やそれに続く水質汚濁防止法などが制定され、産業公害に起因する水質汚染は激減しました。

しかし、改善されたといっても、イタイイタイ病や水俣病などの健康被害者は現在も苦しんでおり、生活排水による汚染や湖沼など閉鎖された水域の水質問題など、いまだ課題は山積しています。

2.日本の水質汚染の主な原因

現代における日本の水質汚染の主な原因は以下の3つです。それぞれ、詳しく見ていきましょう。

・産業排水
・生活排水
・気候変動

①.産業排水

まずは、工場や農場などが流す産業排水です。かつての水俣病やイタイイタイ病などの公害病は、産業排水に含まれる有害物質が原因でした。

水質汚染が社会問題となってからは、排水処理方法や制度の改善が進み、公害病の患者は減少しつつあります。

しかし、湖沼や内海など汚濁物質が溜まりやすい閉鎖された水域では、水質の改善が思うようには進んでおらず、大きな課題となっています。

②.生活排水

かつては産業排水が水質汚染の主な要因でしたが、規制や対策が進んだ今日では、生活排水がより大きな要因となっています。

生活排水とは、家庭から日常的に出る排水のことで、台所やお風呂、洗濯などの「生活雑排水」と「し尿」の2種類があります。

農林水産省などによると、平性29年度末の全国の汚水処理施設の処理人口は1億1571万人、総人口からみた汚水処理の普及率は90.9%であり、約1200万人が汚水処理施設を利用できていないことが分かります。

また、汚水処理人口普及率には地域格差があり、上位では東京都99.8%、兵庫県98.8%、滋賀県98.7%と都市部に限らず高い数字ですが、下位では高知県72.5%、和歌山県63.3%、徳島県60.4%となっています。

つまり、日本でも生活排水の約2~4割が未処理のまま河川に放流されている地域が、まだ数多くあるということです。汚染が進めば、生態系は破壊され、やがて私たち人間の健康にも影響を与えることになりかねません。

③.気候変動

産業排水や生活排水に加え、近年急増している水温上昇や渇水、豪雨といった気候変動も水質汚染の原因といわれています。

現時点でも、温暖化などの影響で水温が十分に下がらず、湖沼でのアオコの異常発生や、水中底層の酸素濃度の低下による水質悪化などの報告があります。

寒い季節に水面の温度が下がると、酸素が豊富な表層の水が低層に降りて酸素が湖全体に行き渡ります。全循環とよばれるこの自然機能で水中の生態系は守られていますが、将来的にはこの全循環が停止し、魚も生息できないほど酸素が少ない水域の増大が危惧されています。

3.日本で実施されている水質汚染対策

日本の水質汚染は公害病の発生以降、概ね改善傾向にありますが、その背景には様々な水質汚染対策があります。

ここからは、日本で実施されている主な対策をご紹介します。

水質汚濁防止法

1970年に公布された水質汚濁防止法は、水質汚濁を防止し、国民の健康と生活環境を保全するために作られた法律です。

この法律によって、工場や事業所の排水に対して、全国一律の基準が作られ、有害物質、排水量などは規制され、健康被害に関する賠償責任も定められました。

また、汚濁発生源が集中する工業地域などでは、各都道府県がより厳しい排水基準を設けられるようになっています。

もう一つの大きな汚染要因である生活排水については、都道府県が生活排水対策重点地域を選定し、浄化槽設置や生活排水対策の啓発活動などを積極的に行っています。

閉鎖性水域における対策

汚濁物質が蓄積しやすい湖沼や内海などの閉鎖性水域では、環境基準を満たすことが難しい状況にあります。

その対策として特定の水域では水質汚濁防止法に加え、いくつかの制度が作られています。

例えば、湖沼水質保全特別措置法では、喫緊に保全が必要とされる霞ヶ浦や琵琶湖など11湖沼を指定湖沼として、負荷量規制、下水道・浄化槽の整備、底泥の土砂を取り除くなどの施策が行われています。

その他にも、流出水対策地区や湖沼環境保護地区の指定など、各地域の実情に合わせた対策が取られています。

4.水質汚染による被害を根絶するために

国内の水質汚染は年々減少傾向ではありますが、環境省の環境基準を見ると、現在も汚染が改善されていない河川や湖沼が多く存在します。

また、冒頭でもご説明したように、過去の水質汚染による健康被害で苦しんでいる人が大勢います。

国や企業では積極的に水質汚染対策を講じていますが、この国に暮らす1人1人が「水を汚さない」という強い意志を持つことが大切です。

5.まとめ

世界的に見ると、日本は水質汚染対策が進んでいるといわれ、昔と比べると水質汚染による被害は激減しました。

しかし、かつての公害病を教訓に産業排水は改善されつつありますが、生活排水などが原因による水質汚染は拡大しており課題は未だ山積みともいえる状況です。

生活に密着した生活排水の規制は難しく、1人1人が水質の大切さを学び、水を汚さないための行動をすることが今後の鍵を握っています。

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