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水質汚染

水質汚染最大の原因は生活排水?現状や理由を紹介

水質汚染最大の原因は生活排水?現状や理由を紹介

一般的に生活排水は、産業排水のように一時に大量に出て、特定の成分が集中するものではありません。

しかし、小規模かつ恒常的に排出されることから、結果的に水質に与える影響は大きくなり、今や世界全体で見ると産業排水を上回るというデータもあります。

そこで今回は、世界の水質汚染の最大の原因とされる生活排水にフォーカスし、現状や汚染が拡大している理由などを考察していきます。

1.水質汚染の最大の原因は生活排水

水質汚染の原因といえば、工場や農場などから流れ出る産業排水をイメージする人が多いかもしれませんが、現代社会では生活排水も大きな問題となっています。

日本では産業排水の垂れ流しがきっかけで、水俣病やイタイイタイ病など現在に続く公害病が発生しましたが、世界的にも産業排水による水質汚染が重大な問題となりました。

そのため、産業排水に対して排出規制などが敷かれ、排水処理技術も向上したことから、改善の兆しが見られるようになっています。

一方で、生活排水に対しては大きな対策が講じられておらず、水質汚染につながっています。

2.生活排水の現状

ここでは、生活排水はどれだけ深刻な問題になっているのか、その現状をご紹介します。

1990年から2015年まで国際社会共通の目標として掲げられていた「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」では、安全な飲料水の継続的利用など、飲水に関する目標については概ね達成することができました。

しかし、このMDGsでは排水処理・再利用に関する項目はなく、し尿や生活排水の大半は、現在も未処理のまま水域へ放流されています。これにより、経済的損失も生じており、大きな社会問題となっています。

実際、世界の生活排水の90%は未処理のまま放流されており、特にアジアやアフリカなどの途上国で排水処理率が低く、東南アジア3カ国(ベトナム、インドネシア、フィリピン)では、安全な飲料水の継続的利用という目標は達成したものの、し尿・排水管理はほぼ手付かずという現実があります。

日本においても、水質汚濁防止法などの各種規制によって産業排水が原因の汚染は減少しましたが、生活排水による汚染が目立っています。

例えば、伊勢湾を汚濁している物質の構成比は、生活排水49.1%産業排水38.0%と、生活排水が産業排水を上回り、ほぼ半数を占めています。

3.生活排水による水質汚染が拡大している理由

世界的に生活排水が問題となっていることが分かりましたが、なぜここまで問題が拡大してしまったのでしょうか。

主に考えられる2つの理由についてご説明します。

都市部への人口集中

世界には、100万人を超えるような大都市や10万人前後の地方都市など、人口が集中する都市部が数多く存在していますが、そこから大量に流れる生活排水が水質汚濁を著しく助長しています。

特に排水設備が人口増加に追いついていない発展途上国では、深刻な問題となっています。

例えば、人口増加が止まらないインドでは、下水処理が間に合っておらず、糞尿を含む排水の3分の2がそのまま海や川に流されています。これにより、全体の70%の水が汚染され、毎年20万人が死亡しているとニュースにもなりました。

また、急激な都市化が進むアジア圏などでも排水処理や技術の普及が間に合っておらず、水質汚染が問題になっています。都市化が進めば生活排水だけでなく、オフィスやレストランなど商業施設からの排水もさらに増えることが予想されており、早急な対策が求められています。

規制が難しい

冒頭でも述べましたが、生活排水は排出源が小規模であることから、産業排水のような規制が難しいという問題があります。

日本では1990年の水質汚濁防止法改正で初めて生活排水対策が盛り込まれましたが、基本的に住民の啓発・指導に限られています。

また、多くの自治体でも生活排水対策推進要綱を策定していますが、啓発的措置や住民の努力義務を定める内容にとどまっているのが現状です。

水質汚染対策に注力している日本ですら、生活排水対策には有効な対策を見いだせていないとなれば、世界では台所や浴槽の排水、し尿などを処理せず垂れ流している地域が多いことが容易に想像できます。

4.1人1人が生活排水を減らす意識を持つこと

産業排水は企業努力などで減らすことができますが、生活排水は私たち1人1人が意識して抑えていかない限り、減少に転じることはありません。

例えば、みそ汁やラーメンスープなどには栄養塩類の窒素やリンが含まれており、それらがそのまま流れると、プランクトンを増殖させ、赤潮やアオコを発生させる原因になります。

生活排水で河川が汚されると、その水を綺麗にするために膨大な時間と資金がかかります。

食べ物を残さない、油汚れは拭き取る、洗剤は適量に留めるなど、できることの積み重ねが生活排水の減少に必要とされています。

5.まとめ

以前は産業排水が水質汚染の最大の原因とされていましたが、現在は人口集中などもあって生活排水が主な要因となっています。

生活排水を出しているのは、暮らしている私たちであり、1人1人が意識して水を汚さない努力をしていく必要があります。

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