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クリーンエネルギー拡大の課題と取り組み SDGs~目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに~

クリーンエネルギー拡大の課題と取り組み SDGs~目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに~

国際エネルギー機関(IEA)の調べによると、2017年時点の世界の未電化人口は計9億9,200万人いると推測されています。多くの未電化地域は途上国にありますが、貧しい国々にも適した電力として注目されているのがクリーンエネルギーです。

自然を活用するクリーンエネルギーは燃料を輸入する必要がなく、大規模な設備も不要なため開発途上国のエネルギー需要を満たせるのではと期待されています。

そこで世界の持続可能な開発目標(SDGs)では、開発途上国にクリーンエネルギーを普及させるためにターゲットを設定しました。

この記事ではSDGsとクリーンエネルギーの課題、途上国へ向けた支援について解説します。

1.SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」とは

2019年に発表された国連の報告書によると、世界人口は2050年には現在の77億人から97億人まで増加すると推測されています。

世界人口の爆発的な増加は、水不足や環境汚染といった様々な問題の一因となりますが、将来のエネルギー不足も懸念されています。そこでSDGsではクリーンエネルギーの強化による問題解決を図っています。

SDGsとは2030年までの達成を誓った国際目標で、2015年の国連サミットで採択されました。17の目標と169個のターゲットを設定しており、7番目の目標「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」では「すべての人々が安価で信頼性の高いエネルギーアクセスを確保する」としています。

中でも人口増加の中心地である途上国ではエネルギー需要の深刻化が予測されており、貧しい国々の危機を救うために次のようなターゲットが作られました。

7-a:2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。


エネルギー問題の解決には、技術面や資金面での国際協力が不可欠だと伝えています。

クリーンエネルギーの開発や普及にはいくつかの課題があります。次の章から詳しく見ていきましょう。

2.クリーンエネルギー普及への課題

クリーンエネルギーとは、地球温暖化の原因と考えられている二酸化炭素や、大気汚染の一因である硫黄酸化物などを排出しない「環境に優しいエネルギー」を表します。

半永久的に利用できる風力発電や太陽光発電などの「再生可能エネルギー」や、化石燃料ではなくバイオマス熱などを利用する「新エネルギー」もクリーンエネルギーに含まれます。

環境に優しいエネルギーであるにも関わらず、普及の歩みは遅いままです。なぜ拡大が進まないのか、原因を1つずつご紹介します。

①.発電コスト

クリーンエネルギーは設備の建設費が高く、発電量が天候に左右されるため発電コストが割高です。ヨーロッパを中心に発電コストは年々低減しているものの、その裏には利用者にコストを負担させるFIT制度があります。

FIT制度は「固定価格買取制度」とも呼ばれ、クリーンエネルギーによる電気を電力会社が一定価格で買い取る制度のことで、その買取価格の一部は電気利用者が負担します。

例えば、2016年度のドイツで月額負担は約2,440円。日本の月額負担585円の4倍にのぼります。

利用者の費用負担が重いままでは、所得が低い途上国でのクリーンエネルギー導入は難しいでしょう。

②.電力系統の不足

クリーンエネルギーで発電しても、送電線に繋げずに電気が余るという事態が起きています。

日本をはじめとした一部の国では火力発電、クリーンエネルギー問わず先着順で電力系統に接続されるため、昔から使われている火力発電が輸送容量を確保しています。電力輸送を確実にできると判断できなければ、発電事業が成り立つか分からずクリーンエネルギーへの参画を諦める事業者が生まれかねません。

③.不安定な発電量

風力や地熱、太陽光発電といったクリーンエネルギーは自然を活用した発電方法であり、天候や時間帯によって発電量が左右されます。利用者が安定的な電力供給を受けるためには火力発電に頼らざるを得ません。

火力発電の比率を下げるためにはクリーンエネルギーによる余剰電力を貯める技術や不足分を補う仕組みが必要です。

④.高価格帯の蓄電池

先述の通りクリーンエネルギーは発電量が安定しないため、余剰電力が発生すれば蓄電し、電力が不足すれば放電する「蓄電池」が注目されています。

蓄電池を利用すると電力系統の安定化が図れるため、これから需要が増えることが予想されています。ただ、小型化が難しい、充電効率が悪い、火災発生のリスクがあるといった技術的な課題に加え、価格が高いというコスト面の課題もあります。

2017年の東京都環境科学研究所による調査では、最も安価な鉛電池で5万円/kWh、最も高価なリチウムイオン電池は20万円/kWhであり、途上国への導入は厳しいことが予想できます。

3.クリーンエネルギーに関する支援

SDGsに明記されたこともあり、先進国はクリーンエネルギーを開発途上国に普及させるべく様々な形で支援しています。

投資、インフラの2つの視点から見ていきましょう。

投資

ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)の発表によると、世界のクリーンエネルギー関連投資は2018年に5年連続3000億ドルを超えることがわかりました。

投資されたエネルギーの種類内訳を見ると、太陽光発電と風力発電への投資がそれぞれ約3分の1を占めています。

一方、国別に2018年の投資額を見てみると、中国が約1000億ドルと全体の約30%を占めており、太陽光発電のコスト低減、電気自動車(EV)の技術革新といった点で重要な役割を担っています。

2位はアメリカの640億ドル、3位は日本の272億ドルと続きますが、1位の中国には大差を付けられており、クリーンエネルギーへの投資では中国が一歩先を行く形となっています。

インフラ整備

先進国の技術により途上国を支援しようという取り組みが各国で行われています。

支援の形は多岐に渡りますが、代表的なものには各国による政府開発援助(ODA)、国連開発計画(UNDP)をはじめとする国際機関やJICAなどのNGO団体による支援があります。

例えばUNDPは、モーリタニアの送電網開発や再生可能エネルギー推進活動により、エネルギー関連のインフラ整備を行い、クリーンエネルギーの普及を促進しています。

4.まとめ

SDGsでは地球に暮らす全員が安価で安定したエネルギーを享受できるよう、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」でクリーンエネルギーへのアクセス促進を目標にしました。

途上国に適したエネルギーであるクリーンエネルギーは、途上国の電力需要に応える解決策として期待されている反面、コストや不安定性といった課題が残っています。

中国を筆頭にクリーンエネルギー投資が進められ、途上国へのインフラ支援なども行われていますが、SDGsの期限である2030年までにさらなるクリーンエネルギーの普及が期待されます。

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