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アピステコラム

SDGs

環境も労働者の権利も守る経済成長を SDGs~目標8.働きがいも経済成長も~

環境も労働者の権利も守る経済成長を SDGs~目標8.働きがいも経済成長も~

経済の発展には、数多くの人の仕事が関わっています。しかし、労働内容に見合う賃金を受け取っていない人や、人権を無視した労働条件で働いている人が大勢おり、価値ある経済成長とは言えない側面もあります。

また、彼らの労働条件を改善し生産活動を行っても、環境を破壊しては持続可能な経済発展は望めません。

働く人の権利や環境を守りながら経済を発展させるためにはどうすればいいのでしょうか。経済活動にまつわる問題と、改善に取り組む世界の事例をご紹介します。

1. SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは

MDGsに代わる世界的な共通目標として作られたSDGsには、経済・社会・環境の3分野を網羅する17の目標があります。

そのうち、目標8「働きがいも経済成長も」では、持続可能な経済成長の前提条件として12個のターゲットを掲げ、2030年までに解決するとしています。中でも、環境問題や労働格差の解決を視野に入れたターゲット5つを簡単に要約すると、次のようになります。

・各国の経済成長率を維持し、後発開発途上国は最低でも年率7%の成長率を保つ。
・労働集約型セクター、高付加価値セクターを中心に経済生産性を向上させる。
・開発重視型政策を促進し、金融サービスへのアクセス改善などから中小零細企業の設立や成長を奨励する。
・資源効率を改善し、経済成長と環境悪化の分断を目指す。
・ディーセント・ワークや同一労働同一賃金を達成する。

これらのターゲットが立てられた背景にはどのような問題があるのでしょうか。次の章から具体的に解説していきます。

2. 世界の経済成長の裏にある問題

アメリカや中国を筆頭に成長を続ける世界経済の裏では、労働力の搾取などさまざまな問題が発生しています。詳しく見ていきましょう。

近年の開発途上国の経済成長率

世界銀行のデータから、新興国や開発途上国の経済成長率は、2016年から年4%前半で推移していることが分かります。

特に発展の遅れが顕著な後発開発途上国と呼ばれる47カ国に絞ってみてみると、2017年の経済成長率は5%にとどまり、SDGsが掲げる年率7%に到達した国はわずか5カ国しかありません。

この背景には、一次産品への依存が考えられています。多くの後発開発途上国が一次産品の輸出による収入に頼っていますが、農産物や錫、石炭といった資源を加工しない状態で出荷する一次産品は相場の影響を受けやすく、国際価格が下落すると国家の収入も大きく減ってしまいます。

このまま他の産業の育成が進まないと、2030年までに47か国すべてで年率7%を実現することは難しいと指摘されています。

経済発展による環境問題の深刻化

開発途上国では、経済発展を優先するあまり環境への配慮が不十分であると言われています。

例えば、工場からの煙や自動車排出ガスに含まれる化学物質は大気汚染を引き起こし、有害物質を含む廃棄物は河川の富栄養化を進めてしまいます。実際、中国では揚子江の大規模ダム工事の影響で、周辺地域の生態系の破壊や水質汚染が問題視されています。

先進国ではイノベーションにより環境に優しい生産活動が浸透してきていますが、貧しい開発途上国では技術開発に回す資金がなく、環境破壊に目をつぶったまま経済成長を進める国も少なくありません。

開発途上国の過酷な労働環境

SDGsで提唱されたディーセント・ワークとは、働きがいのある人間らしい仕事を指し、権利が保障され、十分な収入があることが前提となっています。しかし、人権を無視した不利な労働条件で働く人は後を絶ちません。

国際労働機関(ILO)の調べでは、失業者の数は世界で2億人を超え、仕事があっても1日2ドル以下の低賃金で働いている人は世界人口の約半分に及ぶことがわかりました。

また、世界の子どもの10人に1人は、満足に教育を受けることもできずに仕事に従事しており、低賃金・劣悪な労働環境で働いています。

世界で大きく開く所得格差

国連の報告書によれば、世界の3分の2の国で所得格差が顕著になりつつあるとしており、世界的に収入の格差が議論されています。

国内ギャップが特に大きいのは中国やインドといった新興国で、都市部と農村部での差や、識字による労働の違いなどが原因だと考えられています。

一方、世界規模で見てみると、2019年時点で10億ドル以上の資産を持つ富裕層が世界で2,100人程おり、彼らの資産の合計は世界の総人口の約6割にあたる46億人の資産の合計を上回っていることが、国際NGOのオックスファムの発表でわかりました。

3. 経済と環境、労働者を守る世界の事例

経済発展に隠れた問題を軽視せず、環境や労働者の権利を守りながら経済成長を支援している国があります。世界ではどのような取り組みが行われているのか、4つの事例を見ていきましょう。

開発重視型の政策を促進する:日本

雇用創出や起業、イノベーションを支援する開発重視型の政策として、日本は開発途上国の人材育成を行っています。その一環である「ABEイニシアチブ留学生」では、アフリカの優秀な人材を留学生として1,000名以上受け入れ、教育を施しています。

例えば、英語での修士課程教育や企業への見学、インターンシップ実習などがあり、母国に帰国した学生の約8割が母国での起業を検討しています。

金融サービスの普及が格差を減らす:アフリカ

先進国と途上国では、口座保有率でも大きな差があります。口座がないと金融資産の管理に支障をきたすことに加え、資金調達ができず、起業や事業拡大を行いづらくなります。

そんな中、開発途上国でも保有率の高い携帯電話の回線を使ったモバイル送金サービスがアフリカで開発され、金融サービスへのアクセス改善に寄与しています。

これはケニアの通信業者Safaricomとアフリカ商業銀行が提携し開発したもので、低所得者層も簡単に銀行口座を開設できるメリットがあります。モバイル送金サービスの普及により、2017年のサハラ以南アフリカでの口座保有率は、2011年に比べ約2倍の43%にまで増えたと報告されています。

移住労働者への支援:ドイツ

労働者不足という問題を抱えるドイツでは、外国人労働者の雇用に積極的な国のひとつです。しかし、ドイツ語を話せず就労できない人が多いため、国が費用の大半を負担し、ドイツ語が学べる統合コースの受講を外国人に義務付けました。

これにより、外国人労働者は経済的負担を最小限にとどめてドイツ語を習得でき、仕事の幅が広がる、質の高い仕事につき賃金が上がるなどのメリットがあります。

労働集約型セクターへの対策:日本

労働集約型セクターとは、人間の労働力割合が大きい産業を指します。漁業などの一次産業やサービス業などの三次産業がこれに当てはまりますが、中でも農業は典型的な労働集約産業のひとつと言われています。

賃金コストが高く人に依存する労働集約型産業の生産性をイノベーションにより解決しようと、高知県ではAI技術を活用して、野菜の出荷時期を予測する取り組みが勧められています。

人工知能が天候データなどを集約し出荷時期を見極めるため、野菜をよりよい条件で販売でき、生産者の収入向上につながることが期待されています。

4. まとめ

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」では、人権や環境を無視せず経済成長できる未来を目指しています。

しかし、世界の経済成長を支える開発途上国の成長率は十分とは言えず、生産活動による環境破壊も注視されています。また、低賃金で働く労働者が数多く存在し、世界的に所得格差が広がっています。

これらの問題を解決するために、各国で技術革新や政策を通した取り組みが行われていますが、さらなる改善が求められています。

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