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絶滅危惧種の現状と保護・保全活動 SDGs~目標15.陸の豊かさも守ろう~

絶滅危惧種の現状と保護・保全活動 SDGs~目標15.陸の豊かさも守ろう~

世界で確認されている絶滅危惧種の数は3万種を超え、その数は加速度的に増えています。さらに、世界には3000万種以上の未記載種がいるとされ、中には気づかれずに絶滅をむかえる動植物がいることが予想されます。

今回は、増加を続ける絶滅危惧種の現状とその背景、絶滅危惧種を保護・保全する取り組みについてご紹介します。

1. SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」とは

持続可能な社会を目指すSDGsで絶滅危惧種の保護を取り上げるなど、生物多様性の損失が問題視されています。

SDGsには2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットが定められていますが、15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」の中で生態系保護に関わるターゲットがあり、その中の一部を簡単にまとめると次のようになります。

・陸域生態系、内陸淡水生態系を保全・回復し、持続可能な利用を確保する
・山地生態系の能力強化・保全を確実に行う
・絶滅危惧種の保護と絶滅防止のための対策を講じる
・動植物の密猟・違法取引を撲滅する対策を講じ、違法な野生生物製品に対処する
・外来種の侵入を防止し、優先種の駆除根絶を行う

これらは、主に陸で生きる生態系と湖や川などに住む内陸淡水生態系を保護する必要性を訴えるものです。

なぜ、ここまで生物保護が強く要求されているのでしょうか。次章で絶滅危惧種の現状をお伝えします。

2. 急増する絶滅危惧種

国際自然保護連合(IUCN)が2019年12月に発表した「レッドリスト」によると、世界の絶滅危惧種は30,178種に及ぶとされています。2019年7月時点の28,338種と比べると、たった5か月で1,840種も増加していることがわかります。

レッドリストには絶滅の危機に瀕する野生生物が明記されており、記載される動植物の数は更新のたびに増え続けています

SDGsで保護が叫ばれた内陸淡水生態系に目を向けてみると、日本の淡水魚ではゲンゴロウブナなど33種が新たに記載されました。

3. 絶滅危惧種が増え続ける原因

絶滅の危機にあるだけでなく、実際に絶滅した動植物の数も増えています。ノーマン・ワイヤー『沈み行く箱船』(1981)のデータでは、1974年以前は1年間で絶滅する動植物が1種未満でしたが、1975年以降は1年間に4万種もの動植物が絶滅しているとされています。

なぜここまで絶滅する動植物が増加しているのでしょうか。ここでは主な原因を4つご紹介します。

①.密猟・乱獲

先述のレッドリストでは、捕獲・採集により3,000種以上の動植物が絶滅する恐れがあるとされており、その多くが密猟によるものと考えられています。

違法行為である密猟や乱獲によって、以下のようなものが生まれています。

・装飾品に使用される毛皮、革製品の材料
・漢方薬
・食用
・ペット
・剥製

これらの大半は、先進国で利用されます。先進国では生きものを使用した製品の需要が根強く、中には高額で取引されるものもあり、密猟・乱獲の原因となっています。

違法行為・取引の取り締まりも必要ですが、その根本にある需要も抑止しなければなりません。

②.外来種の侵入

原産地から偶然、あるいは人為的に運ばれ、その先で定着した生物種を「外来種」と言い、そのうち在来の生物に悪影響を与えるものを「侵略的外来種」と呼びます。

侵略的外来種はもともと生息していた動植物を駆逐して生態系を崩す、病原菌を持ち込むなどの問題を引き起こします。

これを受け、1993年には国際条約である「生物多様性条約」に外来種の侵入防止が明記され、日本でも「特定外来種による生態系等に係る被害の防止に関する法律(特定外来生物法)」を施行して外来種の規制に臨んでいますが、外来種の全体数は把握が難しく、完全な解決には程遠い状況です。

③.森林伐採

森林には数多くの動植物が生存し、陸域生態系生物の3分の2以上が森林に生息していると言われています。

しかし、森林伐採により1年で日本の国土の半分の森林が減少し、動物の生息地が奪われることで、動植物の生態系が破壊され、毎日100種もの生物が絶滅しているとされています。

伐採された木材の多くは先進国が輸入して商業用途で使用し、紙製品などに姿を変え大量消費されています。絶滅の危機にある動植物を保護するためには森林の過伐採を抑止するとともに、その原因である木材の浪費をやめる必要があります。

④.地球温暖化

IUCNによると、地球温暖化のスピードに適応できずに絶滅危機に陥っている種の数は、絶滅危惧種全体の12%に該当するとされています。

例えば、北極に生息するホッキョクグマは海氷の上で狩りをしますが、温暖化により海氷が減少すると狩場がなくなり、獲物を捕れずに餓死してしまいます。実際、21世紀中頃までにはホッキョクグマの数が3分の2まで減ると予測する研究者もいます。

地球温暖化は自然災害をもたらし人間の脅威となるだけでなく、動植物の絶滅スピードを早める一因ともなるのです。

4. 絶滅危惧種を保護する取り組み

生物多様性の保護は、食物連鎖のネットワークの維持に欠かせません。そこで、世界各国で絶滅危惧種を救うさまざまな取り組みが行われています。

本章では、絶滅危惧種の保護に関わる国際条約と、日本の取り組み、世界的な取り組みをご紹介します。

絶滅危惧種を守るワシントン条約

絶滅危惧種の違法取引を禁止する国際条約として、1973年に採択されたワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)があります。

ワシントン条約は生きた動物の保護はもちろん、毛皮や角、牙など体の一部分を使用した加工品の取引も禁止するもので、2018年9月には182カ国及びEUが締約しており、多くの国が絶滅危惧種の保護に賛同しています。

生息域外保全に取り組む日本

絶滅危惧種を保護し、安全な施設で育成・増殖することで生きものを絶滅から救う方法を「生息域外保全」と言い、日本では環境省が先導して取り組んでいます。

生息域外保全では、将来的に生息地に戻すことを視野に入れ、生きものの自然の性質を損なわいよう専門家のもとで慎重に飼育します。

この活動を通し、1981年に自然から姿を消したトキが2004年に野生復帰を始めました。同時に、餌となる生きものの生態系を守るために生息地の整備も行い、日本経済新聞の調べでは2018年に野生下のトキが370羽にまで復活したと言われています。

世界最大の自然保護ネットワーク国際自然保護連合(IUCN)

レッドリスト作成などの活動を通して自然保護に取り組む世界最大のネットワークであるIUCNは、国や政府を含む1,200超の組織で構成され、160カ国から11,000人の科学者・専門家が参加しています。

IUCNはさらに6つの委員会に分類されていますが、中でも種の保存委員会では動物から薬用植物、外来種といった広範囲の生態系を対象に専門家が調査を行い、各国の政府機関や自然保護団体に科学的なアドバイスを実施する役割を果たしています。

5. まとめ

世界では絶滅危惧種が増え続けていますが、その原因に、密猟・乱獲、外来種の侵入、森林伐採、地球温暖化などがあります。

中でも、乱獲や外来種の定着、森林伐採の背景には先進国による需要があり、われわれの生活が知らぬ間に生態系を崩壊させる原因となっているかもしれません。

生態系保護のために、日本でも生きものを保護し野生に帰す活動が行われていますが、動植物の絶滅を止めるまでには至らず、さらなる保護・保全活動が期待されています。

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