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SDGsの目標から考えるスラム街の現状と住み続けられるまちづくり

SDGsの目標から考えるスラム街の現状と住み続けられるまちづくり

2015年に国連で採択された、持続可能な世界を目指すSDGs。その目標11は「住み続けられるまちづくりを」がテーマとなっています。

目標を達成するために設定されたターゲットの中には、スラム街に焦点を当てたものがいくつかあります。

世界のスラム街の現状はどういったものなのか、また、解決しなければいけない問題とは何かを見ていきましょう。

1.「SDGs目標11.住み続けられるまちづくりを」とは?

SDGsの目標11には、「包括的で安全かつ、強靭で持続可能な都市および人間居住を実現する」とあり、その具体策として以下のようなターゲットが挙げられています。

11-1.「2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する」
11-5.「2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす」


これは、世界的なスラム街の多さ、スラムに暮らす人々が災害によって受ける被害の大きさを物語っており、スラム街を改善する必要があると訴えているのです。

2.スラム街の現状

SDGsでも提唱されているスラム街の改善ですが、スラム街にはどのような問題点があるのでしょうか。まずは、スラム街の定義や危険性について見てみましょう。

スラム街とは

スラム街とは、都市の一部がさまざまな理由で退廃し、公共サービスが受けられない、治安が悪い、衛生状態が良くない、過度な人口密集といった、多くの問題を抱える居住地域を指します。

以前、国連の国際連合人間居住計画が行った調査によれば、21世紀初頭では10億人とされたスラム住民が2030年には倍増し、20億人に達するとされています。

貧困国に多くみられるスラム街ですが、近年、経済発展が進むインドや東南アジアでも大きな問題となっており、世界的な懸念材料のひとつとなっています。

スラム街が多い地域

スラム街は世界中に存在し、特に南米やアジア各国、サハラ以南のアフリカ各国に多いと言われています。また、一般的な定義によれば先進国の中にも存在し、日本の一部地域がスラム街と呼ばれる可能性も否定できません。

大半のスラム街は、都市部の一角に存在し、狭い地域に貧困層が密集して生活していますが、中には南アフリカのソウェトやケニアのキベラのように広大な地域に数百万人の人々が暮らすスラム地域も存在します。

スラム街が形成される理由は様々ですが、地方で苦しい生活をする人々が仕事を求めて都市部に流入し、都市部でも仕事が見つけられずにホームレスとなるケースや、家賃などを支払うだけの収益を得られないため、スラムを作るケースが多いようです。

スラム街に潜む危険

スラム街における一番の課題は、その危険性です。

法が行き届かない混沌とした地域のため、非合法な組織の根城となるケースも多く、犯罪や違法薬物、売春などの温床になっていると考えられています。

また、貧困による非衛生的な環境から、伝染病などが蔓延し、パンデミックの発生源となる危険性も指摘されているのです。

3.災害時に逃げ場がないスラム街

スラム街の人々は、乏しい資源から自作した簡易的な住居で生活しています。当然、耐久性などはないに等しいです。また、それ以上に深刻なことは狭い地域に多くの住民が密集しているため、万が一の時に逃げ道がなくなる危険性が高いことです。

例えば、1本のタバコの不始末が原因で起こる火災も、簡素な住宅であることも相まって大規模なものに発展しやすく、逃げ遅れによる犠牲者の数も増える傾向にあります。こうした地域には消防設備なども備わっていないため、初期消火も難しいのが現状です。

また、生活の利便性から河川が近いことも多く、洪水などの水害リスクも身近にあります。他にも、台風や地震といった災害でも多くの人命が失われます。

国連の国際防災戦略事務局は、1998年から2017年の20年間に自然災害がもたらした経済損失は330兆円に上るとの試算を発表しました。

死亡者は130万人、負傷者は44億人とされていますが、スラム街では正確な被害状況が把握できず、実際の数字はもっと大きいのではないかと言われています。

4.スラム街を改善する動き

スラム街を解消する取り組みは世界各国で行われていますが、課題も多く有効な打開策はいまだ見えない状況です。

スラム街の強制撤去

行政がスラム街そのものを強制撤去する方策は、世界中で行われています。しかし、この方法は問題の根本的な解決にはなっておらず、追い出された人々は、別の場所でスラム街を形成するといった悪循環に陥っています。

また、東南アジアなどでは、行政の予算不足によりスラム解体後の町づくりが進展せず、ふたたびスラム化するといった事態も報告されています。

貧困層を救う就労支援

スラムで暮らす人々は仕事がないことから貧困に陥っています。そのため、いくつかの国では就労スキルに重点をおいた支援策が始められています。

例えば、男性であれば大工や木工、女性であれば工芸制作やアクセサリー加工といった技術を身に付けることで、雇用の需要が高まります。

まず、安定した収入によって貧困からの脱出を援助し、その上で低価格な住居の提供やインフラの整備を行うことが効果的であると言われているのです。

SDGsの前段とされる「ミレニアム開発目標(MDGs)」の最終報告では、1990年に19億2600万人いた貧困層が、2015年には8億3600万人に半減したとされています。

これは貧困の改善に関して、ある程度の成果が達成されたと評価される一方、現在でも10億人近い人々が貧困にあることを示しており、さらなる政策が必要であると指摘されています。

5.まとめ

開発途上国だけでなく先進国においても深刻な問題となっているスラム街は、貧困、治安悪化、不衛生、人口密集、粗末な住居など多くの危険をはらんでおり、災害時には甚大な被害を出しています。

スラム街に暮らす多くの人々は職がなく、貧困からやむを得ずスラム街に住んでいるため、街の撤去などは効果が見られず、就労支援に重点をおいた救済策が始められています。

しかし、世界にはまだ8億人以上の貧困層がいます。

SDGs目標11が提唱する「住み続けられるまちづくりを」を目指して、更なる支援策が求められています。

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