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世界の飢餓の現状と撲滅に向けて~SDGs飢餓をゼロに~

世界の飢餓の現状と撲滅に向けて~SDGs飢餓をゼロに~

世界には十分な食料があるにも関わらず、飢餓に苦しむ人々は増加の一途をたどっています。

飢餓問題を解決するためにSDGsでも目標のひとつに設定しており、世界で問題解決に取り組むことが決められました。しかし、飢餓の完全解決はそう簡単ではありません。

今回は、世界にまん延する飢餓の現状を確認した上で、食料不足に苦しむ人々のためにできることをご紹介していきたいと思います。

1.SDGsが掲げる「飢餓をゼロに」とは

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年9月に国連総会で決議された国際目標であり、2つ目のゴールに「飢餓をゼロに」があります。

SDGsとは、2016年から2030年までの長期的な指針で、世界中の誰一人として残さずに持続可能な世界を目指すため、環境や貧困などの改善を示した17のゴールと169のターゲット(具体的な達成目標)が定められています。

その中で、以下のような達成目標も設定されています。

2-1. 2030 年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

SDGs総研

2.世界の飢餓の現状

飢餓とは「慢性的な栄養不足」のことを表します。世界ではこの飢餓に苦しむ人を減らすためにさまざまな取り組みが行われていますが、近年、世界の飢餓人口は増加の一途をたどっています。

まずは、その現状を確認していきましょう。

飢餓に苦しむ人は世界で8億2000万人

国際連合広報センターによると、第二次世界大戦以後、食糧生産量は年々増えてきており、飢餓人口は1990年の9億5900万人から1997年の7億9100万人にまで減少しました。

しかし、2019年の国連の報告により、世界の飢餓人口が3年連続で増えていることが分かりました。2017年の8億1100万人から2018年の8億2000万人と少しずつではありますが、飢餓人口が増加しているのです。

これは、世界の約9人に1人が満足に食糧を得られていないことを表しています。

飢餓が及ぼす影響

それでは、飢餓が及ぼす問題にはどのようなものがあるのでしょうか。

まず挙げられるのは、こどもの発育阻害です。こどもは栄養不足に陥ると、知能の遅れ、内臓や筋肉などの発育不足が引き起こされます。発育阻害は、成長が単に遅れるだけでなく、深刻な場合は死に至るケースもあります。

また、飢餓は紛争にも影響することが分かっています。飢餓から不安や不平が広がり、暴動や紛争の引き金になるからです。

国連世界食糧計画(WFP9の研究によると、深刻な食糧不安を抱える紛争後の国は、そうではない紛争後の国よりも紛争の再発リスクが40%高いことが発表されました。

3.飢餓の主な原因

飢餓の原因は食糧不足であると考える人もいるかもしれませんが、実は世界には全人口を賄える十分な食料供給がすでにあります。

食料は足りているのに、なぜ飢餓問題は悪化しているのでしょうか。ここからは、飢餓の主な原因を3つご紹介します。

原因①.慢性的な貧困

飢餓の大きな要因のひとつに、悪循環がもたらす慢性的な貧困が挙げられます。

例えば、農村が貧困により種や肥料を買えず、食料の生産量が減ってしまうと食料不足が引き起こされます。これは飢餓の原因にもなりますが、もっと恐ろしいのは、これをきっかけとした貧困の連鎖です。

農村の収穫が減り食糧不足が発生すると社会不安が広がり、抗議や暴動、紛争へとつながることも少なくありません。紛争が起こると難民キャンプへ避難を余儀なくされ、収入がなくなる世帯が増え、貧困がさらに広がっていきます。

こうした貧困により国が食料を十分に輸入できなかったり、財政が圧迫されて貧困世帯を保護できなかったりすることで、食料供給が滞ってしまうというケースに発展します。

原因②.干ばつや洪水などの自然災害

自然災害により農作物が被害を受けたり、仕事などの生活基盤が失われたりすることで飢餓が起こることもあり、特に干ばつの影響が大きいと言われています。

実は、貧しい小規模農民の90%以上が水源を雨水に頼っており、降水量が減ると農作物が枯れてしまうことがその背景にあります。

また、先進国に住む私たちも無関係ではありません。

自然災害により先進国での食料生産量が減ると、食料を輸入に頼ることになります。発展途上国ではそうした先進国に食料を輸出するため、国民は十分な食料を確保できないという現状も生まれています。

原因③.食品ロス(フードロス)

食品ロスを開発途上国へ届ける仕組みがないことも、飢餓の一因になっています。

食品ロスとは食べ残しや賞味期限切れにより廃棄された食料のことを指し、世界では年間13億トンが廃棄されています。世界で生産される食糧は年間40億トンであるため、実に3割以上の食料が捨てられていることになります。

先進国では、まだ食べられる食品(包装紙がつぶれたり、在庫として持ちすぎた食品)がそのまま廃棄されていますが、国際連合食糧農業機関(FAO)によると、この食品ロスや廃棄をなくすことで20億人の人々の食料を確保できることが分かっています。

4.飢餓撲滅に向けた世界の取り組み

飢餓人口は増え続けていますが、いろいろな原因が積み重なっているため簡単に解決することが難しくなっています。

その中でも、世界ではさまざまな飢餓撲滅運動が行われているため、いくつかピックアップしてご紹介していきます。

国連世界食糧計画(WFP)による活動

国連世界食糧計画(WFP)では食料が不足している地域へ向けて、食料の緊急援助や学校給食支援など様々な活動を行っています。

WFPは世界の食糧援助の70%相当をおこなっている世界最大の人道機関で、シリアやイエメン、ソマリアなどの食料が不足する地域に援助物資を輸送しています。

また、学校給食支援も行っており、2016年には60か国、1,640万人へ給食を届けました。

他にも、自然災害の被害を受けた地域に対して復興支援も行っており、2015年のネパール地震では190万人を対象にした食料支援に加え、がれきの撤去や農地の整備に必要な現金を配布する活動も行っています。

このような多岐にわたる活動を通して、WFPは飢餓のない世界を目指しています。

開発途上国の農業の支援と強化

飢餓をなくすためにまずは食料生産を増やそうと、さまざまな団体が開発途上国の農業を支援する取り組みを行っています。今回はその中からスウェーデンとデンマークの例をご紹介します。

スウェーデン国際農業ネットワーク(SIANI)は就農を目指す学生を対象に「ビジネス・プラン・コンテスト」を実施しました。

このコンテストは単なる提案公募ではなく、農業経営のための教育講座を提供するところから始まっており、東アフリカを中心に就農希望者76名が受講し、農業のノウハウを学びました。

同じく北欧のデンマークでは、世界的なバイオサイエンス企業であるクリスチャン・ハンセンがケニアへの農業支援を行っています。

クリスチャン・ハンセンは植物の病気を防ぐ植物防疫製品「Nemix C」をケニアの農業市場へ導入する試みを行っています。「Nemix C」を使うことで収穫量を最大10%増やすことに貢献できるとされており、小規模農家の労働条件を向上させることを目的としています。

先進国の食品ロス対策

先進国では飢餓の原因となる食品ロスを減らす動きが活発化しており、その一環としてフランスとイタリアで新たな法律が可決されました。

フランスでは2016年に、店舗面積が 400 平方メートルを超える大型スーパーに対して食品ロスを禁じる法律(食品廃棄物削減に関する法律)が公布されました。この法律では、賞味期限切れになった食品は慈善団体へ寄付をするか、肥料や飼料に再利用することが定められており、違反すると罰金が科せられます。

この法律により、食料の寄付は15%増え、食品産業全体で廃棄防止による損失率が14.5%減りました。

イタリアでも、2016年に食品廃棄を規制する法律(社会的連帯と廃棄物の制限を目的とした食品及び医薬品の寄附と配布に関する規定)が成立しています。

これは、寄付手続きを簡素化することで食品廃棄物を削減しようとするもので、フランスと違って罰則はありませんが、税制上の優遇措置が設定されています。この法律でも成果は上がっており、2016年から4年間で食品の寄付が21%増加、食品ロスは1人当たり95キロから65キロと約31%減少しています。

このような法律は国民の食品ロスに対する意識を向上させ、寄付を通して飢餓を苦しむ人へ食品を届けることに繋がります。

5.まとめ

飢餓問題はSDGsでも取り上げられるほど、世界中で大きな問題となっています。

しかし、飢餓人口は増加の一途をたどるなど、解決はそう簡単ではありません。

解決に向けて世界ではさまざまな取り組みが行われていますが、誰ひとりとして残さず飢餓から救うためには更なる努力が必要です。2030年まで期限が迫る中、飢餓問題の今後の改善が期待されます。

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