tr?id=1146749789160402&ev=PageView&noscript=1
  1. HOME
  2. アピステコラム
  3. 水質汚染の影響と改善への取り組み

アピステコラム

水質汚染

水質汚染の影響と改善への取り組み

水質汚染の影響と改善への取り組み

海や河川が汚染されると、人間や生態系、そして経済活動にはどのような影響があるのでしょうか?

今回は、水質汚染の影響について詳しくご紹介した上で、水質汚染が発生する原因や改善のための取り組みなどについてもお伝えしていきます。

1.水質汚染の影響

まずは、水質汚染が具体的にどのような影響をもたらすかをご紹介します。

生態系の破壊

水質汚染は生態系に大きな影響を及ぼし、絶滅危惧に追い込まれている生物も多数報告されています。

例えば、絶滅危惧種に指定されているカンボジア・メコン川に生息する川イルカ(カワゴンドウ)は、回収された死体から殺虫剤や水銀などの有毒化学物質が検出されており、水質汚染による死亡が確認されています。2009年に報告された個体数はわずか70体前後と非常に少なくなっています。

このように、水質汚染は水生生物の生きる場所や命を奪い、生物多様性を阻害するだけでなく、水産資源の減少という形で人間にも影響を及ぼします。

病気の蔓延

世界では、毎年2億5,000万人以上の人が水質汚染による病気で苦しんでいます。

日本も高度経済成長期に水質汚染が大きな問題になり、水俣病やイタイイタイ病などの水因性の病気が多数発生し、それを教訓に厳しい排水規制や下水処理の整備が進んだ背景があります。

今も水質汚染による病気が蔓延しているのは、やはり途上国です。アフリカでは都市部を除いたほとんどの場所で水道施設や浄水施設が整備されておらず、人々は泥や細菌、動物の糞尿が混ざった水を飲まざるを得ず、下痢や重篤な感染症などに感染し多くの人が命を落としています。

経済的な損害

水質汚染は、時に経済にも大きな打撃を与えます。

農業や化石燃料の使用から生まれる窒素やリンが大量に海に流れ込むと、富栄養化が進み、藻類の大量発生や貧酸素水塊を作り出し、多くの水生生物が死ぬことで漁業にも多大な損失を与えます。

また、日本では東日本大震災で被災した福島第一原発から、大量の放射性セシウムが海へ放出されたことが報道で大きく取り上げられました。
現在は海産物の安全性が確認されているにもかかわらず、汚染のイメージは残り、その風評被害から漁獲量や水産加工業の生産力が回復しきれないなどの経済的損失を被っています。

2.水質汚染の原因

水質汚染の原因には、産業排水や生活排水がまず思い浮かぶ方も多いと思いますが、降水量の増加や噴火による汚染といった自然が要因のものや、大型タンカーの座礁など突発的な事故が引き金になることもあります。

産業排水や生活排水は、厳しい排水処理の基準や品質管理、下水処理施設などを充実させることである程度防ぐことはできますが、それらには莫大なコストがかかってしまうため、下水に関しては日本であっても8割ほどしか整備されていない現実があります。

また、自然災害や突発的な事故に関しては、事前に防ぐことはほぼ不可能であり、これらが原因の水質汚染は定期的に発生しています。

例えば、2018年4月に宮崎県の硫黄山が噴火しましたが、噴火後、近くを流れる長江川からは環境基準の約200倍のヒ素が検出されました。

3.水質汚染を改善するための取り組み

多方面に深刻な影響を及ぼす水質汚染ですが、世界そして日本ではどのような対策が取られているのでしょうか。

世界規模の取り組み

これまでの世界的な水質汚染対策は、国連が主導となり行われてきました。

例えば、よりよい世界の実現に向けて具体的な目標を掲げる「ミレニアム開発目標(MDGs)」を2000年に採択し、15年で「安全な飲料水を利用できない人の割合」を24%から9%まで減少させることに成功しました。

現在は、2016年にスタートした新たな国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」のもと、世界的に水質汚染対策の取り組みが活発化しており、水問題に関しては8つの目標が掲げられています。

その他の国際的な取り組みとしては、1996年から始めった世界水会議が挙げられます。この会議では、地球規模で深刻化が懸念される水危機に対し、情報提供や政策提言を行うことを趣旨としており、翌年以降3年に1度の間隔で開催されています。

日本での取り組み

日本は高度経済成長期に水質汚染問題に苦しめられた過去から、水質汚濁防止法を筆頭とする各種法規制が進み、排水処理施設の整備促進、技術開発の推進などを軸に水質汚染の低減に力を入れて取り組んでいます。

特に、水質汚染対策分野での技術力は海外でも高く評価されており、開発途上国にも貢献しています。

近年の例では、ベトナム・クアンニン省にて「微生物活性材バクチャー」という微生物の力を活性させて自然本来の姿に戻す技術で汚れた湖沼の浄化を実現しています。この技術は、日本、ラオス、タイなどの約300か所の汚染箇所でも活用されています。

4.水は限りある資源という認識を

地球上には、約14億㎦という膨大な水がありますが、その97.5%は海水が占め、残りの淡水2.5%のうち7割は南極・北極の氷であり、実際に人間が利用できる水は全体のわずか0.01%に過ぎません。

しかし、世界の水需要は人口とともに年々増加しており、人口増加の中心地であるアジアやアフリカ圏は元来水資源が少ない地域となっています。

水不足が世界的問題になりつつある中、それに拍車をかけているのが水質汚染です。

地球上のすべての人間が「水は限りある資源」だという認識を持って、汚染対策に取り組み、水質改善にむけて動き出す必要があります。

5.まとめ

産業排水や生活排水など、さまざまな原因で水は汚染され、生態系の破壊や健康被害、経済損失といった悪影響を世界中に及ぼしています。

「持続可能な開発目標(SDGs)」など世界的な水質改善対策も推進されていますが、まず一人一人が水の大切さを意識し、生活の中から水質汚染の原因を減らしていくことが重要となっています。

アピステコラム一覧
生産性向上・環境改善に役立つ情報をお届けします。 メルマガ登録

お客様のご要望に
スピーディにお答えします。

TEL0120-945-354 FAX0120-997-589

電話受付:月~金曜 午前9時から午後5時30分まで。土・日・祝および当社休業日は受付しておりません。FAX:24時間受付。