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地球温暖化

北極が地球温暖化で受ける影響と北極が地球全体に与える影響

北極が地球温暖化で受ける影響と北極が地球全体に与える影響

地球温暖化の話がメディアなどで紹介される際、北極や南極の氷の減少がたびたび例に挙げられます。

実際、氷が溶けてしまうことで、当該地域や地球全体にどのような影響があるのでしょうか。

今回は北極に着目し、北極が温暖化で受ける影響や地球全体に及ぼす影響などについてご紹介します。

1.南極と比較した北極の特徴

まずは、北極とはどのような場所か、南極と比較しながらその特徴について見ていきましょう。

南極は大陸の上が数千m規模の分厚い氷床で覆われていますが、北極にはそのような大陸がなく、大部分は海に浮かぶ厚さ数mの海氷が占めています。

陸地は北アメリカ大陸最北部のアラスカ、クイーンエリザベス諸島などの島嶼、グリーンランドの大部分、スカンジナビア半島北部、シベリア北部などがあり、総称して北極圏と称されます。

また、標高の低さや太陽光から受ける影響により、平均気温は南極よりも北極の方が高く、ニーオルスン観測基地で計測された平均気温は-6.2℃となっています。

2.北極が温暖化によって受ける影響

それでは、北極が温暖化によって受ける主な影響を4つご紹介します。

①.海氷が溶ける

北極が温暖化によって受ける影響として、最も代表的なのは海氷の融解です。

全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)によると、北極の平均気温は世界の他の地域に比べて2倍もの速さで毎年上昇しており、このまま地球温暖化が進んでいくと、100年後には大陸部で3~5℃、海上では最大7℃上昇すると予測されています。

平均気温上昇に伴い、北極の海氷は溶けて縮小し続けており、この30年間で100万㎢に相当する面積の海氷が融けたと報告されています。

特に最も海氷面積が少なくなる9月は、30年間で約20%減少しています。このままのペースでは、2050年の9月には50%以上減るとされています。

②.生態系が破壊される

北極の温暖化の影響は、その地域の生態系にまで影響を及ぼしています。

北極に住む動物といえばホッキョクグマですが、氷が溶ける夏の間は、数ヶ月にわたりほぼ何も食べずに過ごすという習性があります。温暖化によって氷がない期間が長くなると、十分な獲物が獲れず、衰弱し繁殖できなくなる恐れがあります。

また、WWFジャパンによると、現在のペースで温暖化が進むと21世紀中頃までに、ホッキョクグマの生存に適した夏の海氷面積は4割近くが失われ、その頃にはホッキョクグマの個体数は現在の2/3に減少している可能性があるとしています。

この他、ホッキョクグマの餌ともなるワモンアザラシは、地球温暖化による積雪量の減少と早春に降る雨で、雪の下に作られた巣が破壊され子育てに大きく影響するといわれています。

さらに、これまで存在していなかった蛾が北上し、北極圏の森林を枯らすことで、森林の二酸化炭素貯蔵能力を低下させるなどの影響が懸念されます。

③.先住民の生活が成り立たなくなる

北極には先住民族のイヌイットが住んでいます。近代化が進んでいますが、オットセイやセイウチなど海洋哺乳類の狩猟を中心とした伝統的な生活を基盤としている人も少なくありません。

狩猟は冬季に行われますが、氷が薄くなったことで、これまでのように犬橇(いぬぞり)で氷の上を安全に移動することができず事故が増えています。また、氷が溶けている期間が長くなり狩猟のシーズンが短くなるという影響も出ています。

④.海水酸性化が進む

海水のpHは一般的に弱アルカリ性ですが、二酸化炭素を多分に含んだ海氷が溶け、海に流れ込むと少しずつ酸性化していきます。

海の酸性化が進むと、炭酸カルシウムでできた殻や骨格を持つ生き物の個体数が減り、それを食べる魚などの生態系上位の生物も減少し、主要漁業が成り立たなくなる可能性もあります。

3.北極の温暖化が地球全体に与える影響

ここまでは地球温暖化が北極に与える悪影響についてご説明しました。次は、北極の温暖化が地球全体に及ぼす影響の主だったものを見ていきましょう。

海面上昇

北極の温暖化が地球全体に与える影響の第一に挙げられるものが海面の上昇です。

質量保存の法則によって、元々海にある海氷が溶けて流れ込んでも、海水が膨張する程度で、海面はほとんど上昇しません。

しかし、グリーランドやアラスカなど北極圏の山々などに存在する陸地の氷が、溶けて海に流れ込むと海水の量自体が変化することになり、海面が上昇することになります。

メタンガスの湧出

メタンガスの湧出も、北極の温暖化が地球全体に与える影響として挙げられます。

メタンガスは、二酸化炭素に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きな温室効果ガスで、温室効果は同量の二酸化炭素の約21倍です。

日本国際問題研究所(JIIA)によると、2009年頃に西スピッツベルゲン大陸棚縁辺の北極海の海底に大量のメタンガスが存在していることが明らかになりました。

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、2009年1月に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」が、2017年1月にメタンガスにおいて観測史上最高の約1815 ppbを記録したと報告しています。

また、北極圏をはじめとする高緯度地域で見られる永久凍土も温暖化の影響で溶け出しており、永久凍土からもメタンガスなどが放出しています。

これらのメタンガスが大量に地表に湧出することで、世界的な気候変動がさらに激化するのではないかと危惧されています。

4.現在北極で進められている温暖化対策

地球温暖化が北極に与える影響や、北極の温暖化が地球全体に与える影響についてご説明してきましたが、この状況を打破するために、世界各国や各団体で北極の温暖化対策を推進しています。

例えば、国連環境計画は、2012年に永久凍土の融解を温暖化要因として希少予測モデルに加えるべきとする報告書で、IPCCが凍土融解の影響評価を行うこと、永久凍土の広がる国々はモニタリングネットワークの構築と適応計画の策定を行うことなどを提案しています。

また、2017年にはアイスランドやフィンランドといった北極評議会の加盟国が、北極圏の温暖化を遅らせるため、ブラックカーボンの排出を最大3分の1削減する目標を設けた「フェアバンクス宣言」に署名しています。

しかし、北極に限定した温暖化対策では地球全体の温暖化を食い止めるには不十分であり、結局のところ、パリ協定など世界の多数の国が参加している取り組みの可否が北極の将来を左右することになると考えられます。

5.まとめ

北極で海氷の融解などが進むことで、ホッキョクグマなどの生態系に影響を与えるだけでなく、先住民の暮らしや海面の上昇、メタンガスの湧出などに様々な悪影響を及ぼすことになります。

世界各国や各団体では北極の温暖化を防ぐために様々な取り組みを行っていますが、北極のみでは効果が不十分であるため、地球全体で温暖化の対策を進めることが不可欠であり、世界各国一丸となっての取り組みが求められています。

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