換気ファンによる熱対策の注意点

制御盤の換気ファンによる熱対策の注意点

制御盤などに使用される換気ファンの風量計算は、以下の式から求めます。

盤内推定発熱量÷((盤有効表面積)×5(W/m2・℃))最高周囲温度

備考)発熱量:W、⊿t:℃(基本 20℃)、表面積:㎡、熱通過率:W/ ㎡・K、 1/20:定数

注)オリエンタルモーター株式会社 技術情報より
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/select_fan02/

換気ファン設置後の制御盤の温度は周囲温度プラス 20℃が基準となっています。
換気ファンを選定・設置する場合、以下のことに注意が必要です。

必要充分な換気風量を計算する

経験値で換気ファンを選定したり、換気ファンの大きさや個数が増えるのを嫌うなどの理由から、必要風量を計算せずに換気ファンを選定してしまうと、必要換気風量を満たさず、充分な放熱ができない場合があります。

通気口の開口面積を確保する

通気口の開口面積が小さすぎると風速が速くなります。圧力損失は風速の 2 乗に比例して大きくなるため、開口面積が小さいほど風が抜けにくくなり換気風量が低下し、放熱効果が落ちます。

フィルタの目詰まりを防ぐ

通常、換気ファン設置時には通気口にフィルタを装着します。フィルタは粉塵やオイルミストが付着することで目詰まりを起こしますが、それによりフィルタ自体の圧力損失が大きくなり、換気風量が低下する原因となります。フィルタの定期的なメンテナンスを怠るとと換気風量が低下し、盤内の温度上昇につながります。

ファンなどによる吸排気口から油が侵入

インバータ同士の隣接設置による放熱効果の低下

制御盤内にインバータを設置する際には、インバータの空冷放熱効果を確保するために上下左右に一定のスペースを空けるように推奨されています。例えば左右は 5 ~ 10cm 以上、上下は 15cm 以上のスペースを空けることとなっています。しかし実際インバータを複数設置する場合は、殆ど隙間なく設置することもあります。このような場合は、インバータの空冷放熱効果が低下し、温度上昇の原因になります。

インバータ排熱のショートサーキット

中大型インバータを制御盤の最上段に複数設置している場合などは、隣接からの排気がぶつかり合うため排熱が循環せず、インバータ付近に熱が滞留することが起こります。その場合、高温の排気を吸込むショートサーキットになり、インバータの温度異常を引き起こす原因となります。

関連記事