インバータ・サーボアンプの寿命と熱対策

インバータやサーボアンプの故障と寿命の原因

インバータのメーカー設計寿命の目安は約 10 年といわれますが、寿命を決定する要因は以 下の部品と考えられます。

  • 冷却ファン
    (自冷ファン)の故障
  • 電源平滑用アルミ
    電解コンデンサの故障
  • 制御回路用アルミ
    電解コンデンサの故障
  • 突入電流抑制回路用接点
    (サイリスタ・リレー)の故障

など

これらの部品の経年劣化や故障が、インバータやサーボアンプの寿命に影響を及ぼしますが、実はこの冷却ファンやコンデンサの劣化・故障には「熱」が大きな影響を与えています。そのため、インバータやサーボアンプを安定して使用していくためには熱への対策が重要となります。

熱問題の基本とその解決方法についてご紹介!

制御盤の熱問題にフォーカスした、全24ページの資
料です。熱による制御盤のトラブルやその解決方法
をご紹介します。

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有寿命部品の定期交換

日本電機工業会(JEMA)の「汎用インバータの定期点検のおすすめ」には、以下のようにインバータ部品の定期交換の目安が記載されています。部品には寿命があるため、定期交換を怠るとインバータが故障します。

インバータの定期点検・部品交換の目安(「汎用インバータの定期点検のおすすめ」より抜粋)

部品名 点検項目 点検周期 標準交換年数 交換方法・その他
冷却ファン 異常振動、異常音がないか 日常 2~3年 新品と交換
接続部の緩みはないか 1年
エアフィルタの清掃 1年
平滑コンデンサ 液漏れはないか 1 年 5年 新品と交換
へそ(安全弁)は出ていないか、
膨らみはないか
1年
リレー 動作時にビビリ音はないか 1年 調査の上決定

アルミ電解コンデンサと熱対策

アルミ電解コンデンサの寿命はアレニウスの法則により、10℃温度が高くなると半減します。インバータ内のアルミ電解コンデンサの設計寿命は約40℃での使用を前提としており、冷却対策のない制御盤のインバータ内のアルミ電解コンデンサの温度は 50℃、60℃、70℃に達するため、インバータの寿命は 1/2、1/4、1/8 と加速し、インバータの寿命が短くなり、故障・設備停止の原因となります。

冷却ファン(自冷ファン)と熱対策

インバータに搭載されるDCファンモータ自体の期待寿命は40℃で約10万時間ですが、40℃を超えると寿命は短くなり、60℃になると期待寿命は約1/2の5万時間弱になります。
モーターの設計寿命は軸受寿命の影響が大きく、軸受寿命はグリース寿命と機械的寿命で表されますが、軸受寿命は熱、温度によるグリース寿命にほぼ依存します。軸受温度が15℃上昇すると、軸受グリース寿命は半減するともいわれています。

注)オリエンタルモーター株式会社 技術情報より
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/life01/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/life06/

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