上手な制御盤の結露対策

結露が発生するメカニズム

制御盤の結露対策を検討する前に、結露はなぜ発生するのかを知らなくてはなりません。
冷えたビール瓶の表面に水滴がつく、冬の暖かい室内の窓の表面に水滴がいっぱい、梅雨時にエアコンの冷風が霧状になる・・・・普段のこんな症状。
これらが身近に起こる結露現象です。

私たちの周りにある空気は水蒸気(気体)の状態で水分を含んでいます。ある温度の空気が含める限界の水分量(100%状態)を飽和水蒸気量といいます。この飽和水蒸気量は、空気の温度によって増減します。この時の空気を冷やしていくと、空気が含める限界の水分量は減少していき、やがて飽和状態に到達します。この温度を露点温度といいます。冷やされて露点温度を下回ると空気中の水蒸気は凝縮(液化)して、結露して結露水となって現れるのです。

ひとくち解説結露とは

温度が高い時には含める水分の量は増大し、温度が低い時には含める水分の量は減少します。含める限界を超えた水分が現れる現象が、結露です。

ひとくち解説露点温度とは

ある温度の空気が水蒸気を含める限界状態(相対湿度 100%)になり、空気中の水蒸気が結露して水滴をなって現れる温度のこと。

制御盤に結露が発生するメカニズム

制御盤の表面が冷やされ、制御盤の表面と接触する空気中の水蒸気が含める限界を超えると、表面が結露します。

例 1

クーラーの温度を下げ過ぎ、制御盤の内部および表面の温度が冷たくなり、盤外表面の空気が冷やされ結露します。

例 2

クーラーの温度を適温ですが、梅雨時で周囲の湿度が急激に高くなり、高湿の盤外表面の空気が冷やされ結露します。

対策1:「盤内への湿気の侵入を防ぐ」

扉の開放を減らす

設備の電気修理の際に、制御盤の扉を開けっ放しにすると一気に盤内に湿気が流れ込みます。
また、応急の熱対策のために扉を開けっ放しで稼働すると、盤内の湿度が急激に高まります。

扉にパッキンをつける、パッキンを張り替える

制御盤の扉の裏側にパッキンがなかったり傷んでいると、制御盤の密閉度が低く、隙間から湿気が侵入します。
注)パッキンについては専門のメーカーにご相談ください。

入線部は防塵コネクタや隙間をコーキングする

制御盤には各種入線がありますが、入線部は防塵型のケーブルグランドコネクタを使用したり、隙間をコーキングします。

地下ピットからの入線部を防湿対策、
発泡ウレタンなどで隙間を埋め断熱する

制御盤の地下ピットから入線する構造の場合、地下から湿気が上がってくるため、発泡ウレタンスプレーなどで防湿対策を実施してください。
注)コネクタや発泡ウレタンスプレーについては専門のメーカーにご相談ください。

換気ファン + 通気口をやめる

湿気の高い場所や屋外などで、換気ファンや通気口があると盤内の湿度は高くなり、結露のリスクが高まります。

換気ファンの運転を温度スイッチで ON/OFF させる

換気ファンも盤内温度が熱くなった時だけ運転し、盤内温度が低くなった時には停止させると、連続運転より侵入する湿気は減少します。

対策2:「盤内の湿気を除湿する」

乾燥剤や除湿剤を設置する

市販で押入れや家具用などの乾燥剤や除湿剤があります。除湿目的には除湿剤の方が吸湿力に勝ります。除湿効果はあるので有効ですが、定期的に交換しなければなりません。

制御盤用除湿器を設置する

ペルチェ素子による除湿器が一般的です。ペルチェ素子の冷却プレート側で結露させて除湿します。除湿能力の目安は、約 10 ~ 30CC/h程度と考えられます。ただし、冬期は冷却プレートの温度差がつかないため除湿効果は殆どなくなります。またペルチェ素子を使わない電気分解式の除湿器も市販されています。

制御盤用クーラーを設置する

冷凍サイクルを搭載したクーラーは、冷却だけでなく、除湿機能もあります。除湿能力の目安は冷却能力によりますが、約 200 ~ 2000CC/h 程度となります。

参考リンク →制御盤用クーラーとは?導入のメリットについて解説

対策3:「盤内を温める」

制御盤用ヒーターを設置する

冬期は盤内温度が急激に下がります。盤内の水分量が同じであれば、空気の温度が下がると飽和水分量が少なくなるため、相対湿度が高くなり、盤内の空気が含みうる水分量が少なくなります。盤内をヒーターで加熱すると、盤内の相対湿度が低くなるため、飽和水分量が多くなるため、盤内の空気が含みうる水分量は多くなります。ただし、絶対水分量は同じなので露点温度は同じです。

湿り空気 h-x 線図
(全圧力 P=760mmHg)

湿り空気 h-x 線図(全圧力 P=760mmHg)

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