フロンによって引き起こされる環境影響
オゾン層破壊
1970年代半ば、人工的に作り出された物質であるクロロフルオロカーボン類(CFC類:フロンとも呼ばれます)がオゾン層を破壊する可能性が指摘されました。フロンの多くは、かつてはエアコン、冷蔵庫、スプレーなどに使われ、大気中に大量に放出されていました。フロンは、地上付近では分解しにくい性質をもっているため、大気の流れによって成層圏にまで達します。高度40km付近の成層圏まで運ばれると、フロンは強い太陽紫外線を受けて分解し、塩素を発生します。この塩素が触媒として働きオゾンを次々に壊していきます。オゾン層を破壊する物質には、フロンのほかにもいくつか存在し、消火剤に使われるハロンなどの物質が放出する臭素によってもオゾン層が破壊されます。
地球温暖化
大気中に含まれる二酸化炭素などの温室効果ガスには、海や陸などの地球の表面から地球の外に向かう熱を大気に蓄積し、再び地球の表面に戻す性質(温室効果)があります。18世紀半ばの産業革命の開始以降、産業活動による石炭・石油などの化石燃料の大量消費、セメントの大量生産などにより大量の二酸化炭素が大気中に放出され、かつ大気中の二酸化炭素の吸収源である森林の減少などにより、大気中の温室効果ガスの濃度は急激に増加しました。この急激に増加した温室効果ガスにより、大気の温室効果が強まり、大気中の熱の吸収が増えた結果、20世紀半ば以降から気温が上昇し始めています。これが地球温暖化の原因と考えられています。
主な温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスがあります。二酸化炭素は、地球温暖化への影響が最も大きな温室効果ガスです。メタンは、二酸化炭素に次いで地球温暖化への影響が大きな温室効果ガスです。メタンは、湿地や池、水田で枯れた植物が分解する際に発生します。このほか、天然ガスを採掘する時にも発生します。地球温暖化が進むと、氷河が溶け出して海水面が上昇し、水没する地域が増えていき、エルニーニョ現象や干ばつ、大雨、熱波やサイクロンなどの地球規模での異常気象の原因となります。
フロンの温室効果
私たちの生活の身近なところでも使用されるフロンですが、フロンは特定フロンと代替フロンの2種類に大別されます。初めに開発されたCFC(クロロフルオロカーボン)や後に開発されたHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が特定フロンです。特定フロンがオゾン層を破壊することから、新しいフロンへの転換が必要となり、そこで開発されたのが代替フロンであるHFC(ハイドロフルオロカーボン)です。
HFCは塩素が含まれないため、オゾン層を破壊することはありませんが、 CO2の数百倍から数千倍の温室効果があることが分かっています。
冷媒 | CFC-12 (R12) |
HCFC-22 (R22) |
HFC-410A (R410A) |
HFC-407C (R407C) |
HFC-134a (R134a) |
HFC-32 (R32) |
CO2 (R744) |
HFO-1234yf (R1234yf) |
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フロン or ノンフロン |
フロン | フロン | 代替 フロン |
代替 フロン |
代替 フロン |
代替 フロン |
HFC 代替冷媒 |
HFC 代替冷媒 |
オゾン 破壊係数 (ODP) |
1 | 0.055 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
地球 温暖化係数 (GWP) |
10,900 | 1,810 | 2,090 | 1,770 | 1,430 | 675 | 1 | <1 |