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精密空調機 周辺情報

1-1.精密空調・クリーンルーム

精密空調での温湿度管理、クリーンルーム清浄度の説明をしています。

(1)産業空調と工程別の条件

産業空調とはその名の通り産業用途に用いられる空調のことで、工場の製造工程では、労働者の労働環境の維持と製品の品質管理の維持・向上、研究開発分野では、製品の評価や分析精度の安定化などを目的としています。そのため、産業空調はその用途によって要求される空調条件が異なります。最近では製品の品質管理は製造業界の重要な課題です。そのための有効な対策の一つとして、高品質な空調管理が注目されており、産業空調の適用範囲はさらに広がっています。今や工場の製造工程において、産業空調は欠かすことのできないものとなっています。

(2)クリーン度とクリーンルーム

表1 産業空調の工程別温湿度条件

業 界 工 程 温度条件 湿度条件
半導体 フォトリソグラフィ  22~24℃±0.2℃以下 45~50%±2~5% 
ドライエッチング 22~24℃±2℃以下  45~50%±5%以下
スパッタリング 22~24℃±2℃以下  45~50%±5%以下
医薬品 粉薬貯蔵  24℃±3℃以下  30~50% 
打錠  24℃±2℃以下  20~40% 
マクロ分析・血清  24℃±2℃以下  50% 
光学レンズ 研磨  25℃±2℃以下  50±5%
印 刷 印刷 24~27℃±5℃以下   50±2%
裁断、乾燥、のり付けなど  21~27℃   45~50%
食 品 生パン   24~26.5℃   40~50%
原料貯蔵   26.5~29.5℃   80~85%


※上記の一覧はあくまで一般的な目安です。環境によって温湿度条件は異なります。

表2 工程別クリーン度

クリーン度

製品の歩留まりを改善し、品質を向上させるための有効な対策のひとつに、環境制御精度の向上があります。その環境制御における重要な要素のひとつが「クリーン度」の管理です。クリーン度とは、一定の基準に基づき空間内の空気の汚れの度合いを表したものです。もともとはクリーンルーム内の空気の清浄度を数値化するために定められた規格ですが、環境分離技術の進歩とともにその用途は広がり、今では清浄度が制御されたクリーンルーム以外の空間においても利用されています。

クリーンルーム

クリーンルームとは、空間の清浄度を実現、維持するための特殊な部屋のことです。クリーンルームは使用目的により2つの種類に分類できます。1つが工業用途で使用される空気中の浮遊粒子を制御対象とする「インダストリアルクリーンルーム(ICR)」。もう1つがバイオテクノロジーや医療・食品分野で使用され、主に空気中の浮遊微生物を制御対象とする「バイオロジカルクリーンルーム(BCR)」です。また「ダウンフロー方式」、「乱流方式」などの気流方式によっても分類されます。クリーンルームは、清浄度の環境要因となる空気中の浮遊粒子を、清浄な空気を用いて外部へ排出、もしくは希釈することにより、高清浄度化を実現します。加えて、必要に応じて温度・湿度・圧力などの環境要素の制御が求められる場合があります。

表3 クリーンルームの種類

インダストリアルクリーンルーム(ICR) 液晶、半導体、LSI、電子部品、精密機器、印刷、エッチング、蒸着、プリント基板、レンズ、光学ディスク、粉体製造、原材料製造など
バイオロジカル クリーンルーム(BCR) 薬品、手術室、新生児室、食肉加工、きのこ栽培、植物育成、醸造品調理室、バイオテクノロジー、遺伝子実験設備など

表4 業界別クリーン度の目安

(3)クリーン規格とクラス(清浄度)

クラス(清浄度)とは、空間中の微粒子がどのくらいの量なのかの度合いを規格により定めたものになります。
現在は国際統一規格のISO規格へ統一されておりますが、従来より多く使用されてきた米国連邦規格「FED-STD-209D」が現在でも広く使用されています。

ISO14644-1

1m3当たりの空気中に0.1μm以上の粒子が対象となり、クラス1-9まで分類されております。空気1m3当たりの粒子数が10個以下ならクラス1、100個以下ならクラス2、…と桁ごとにクラスが区切られています。

FED-STD-209D

対象空間内の空気1立方フィート(1フィート=約30cm)中に存在する粒径0.5μmの微粒子の数によります。空気1立方フィート中の浮遊粒子の数が100個以内ならば、「クラス100」、1,000個以内ならば「クラス1,000」になります。

表5 空気洗浄度クラスによる測定粒径と上限濃度

清浄度クラス 上限濃度(個 / m上限濃度(個 / m3))
国際統一規格
ISO 14644-1
米国連邦規格
FED-STD-209D
測定粒径
0.1μm 0.2μm 0.3μm 0.5μm 1.0μm 5.0μm
クラス1   10 2        
クラス2   100 24 10 4    
クラス3 1 1,000 237 102 35 8  
クラス4 10 10,000 2,370 1,020 352 83  
クラス5 100 100,000 23.700 10,200 3.520 832 29
クラス6 1,000 1,000,000 237,000 102.000 35,200 8,320 293
クラス7 10,000       352,000 83,200 2,930
クラス8 100,000       3,520,000 832,000 29,300
クラス9         35,200,000 8,320,000 293,000

 

(4)クリーン度にかかわるその他の項目

エアフィルター

表6 フィルターの種類

 

粗じん

フィルター

中高性能

フィルター

HEPA

フィルター

ULPA

フィルター

超ULPA

フィルター

使用クリーン 特になし クラス10~20万 クラス100~1,000 クラス10~100 クラス1~10
使用例 一般事務所等 一般事務所等 半導体製造
後工程等
半導体前工程
製造ライン等
超々LSI製造工程
能力 異物、ゴミなどを捕集する程度 粗じんフィルターより捕集能力は高い 0.3μmの粒子を
99.97%捕集する
能力をもっている
0.15μmの粒子を
99.9995%捕集する
能力をもっている
0.15μmの粒子を
99.9999%捕集する
能力をもっている
送風方法 乱流送風 ダウンフロー送風

表7 その他のフィルター

  活性炭フィルター ケミカルフィルター
説明 アンモニア・酢酸・アルデヒドガスVOCなどの吸着 化学汚染物質
分子状汚染物質の除去
用途 脱臭用途 半導体・液晶製造工程

微粒子の大きさとフィルターの集塵能力

換気回数

換気回数の目安表

クリーンルームのクラス 一般的数値 USA209E規格 平均気流速度
Class 100,000 20~  30回/h 20 .005-.041m/sec
Class 10,000 30~  70回/h 75 .051-.076m/sec
Class 1,000 100~200回/h 150 .127-.203m/sec
Class 100 200~600回/h 250~400 .203-.408m/sec

気流方式

表9 代表的な喚起方式

  ダウンフロー方式 乱流方式 その他一般的な方式
 

清浄度 クラス10~1,000 クラス1,000~ クラス10,000~
特徴 温度・湿度・クリーン度が均一に分布しやすい。天井・床にダクトを必要とするため設置に制限がある。 管理が簡易である。
空間の四隅に不均帯が発生する。
吹出し口からの距離に比例して不均帯が発生しやすい。
イニシャル
コスト
高い やや高い 安い
ランニング
コスト
高い やや高い 比較的安い
ノン
コントロール
ゾーン
少ない 四隅に発生 吹出し最遠方部に発生

 

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