除湿

除湿とは?

除湿とは一般的に空気中の湿気を取り除くことです。

空気と湿度の関係

そもそも空気(=湿り空気)は、温度によって空気中に含める水蒸気の量が変動します。ある空間の空気を風船にたとえると、冷たい温度の時は風船が縮んで含める量も少なくなります。しかし、暖かい温度の時は、風船は膨張して含める量が多くなります。これは、空気自体が温度で伸縮するためです。

除湿と相対湿度、絶対湿度

除湿には、絶対湿度を下げる方法と相対湿度を下げる方法があります。

相対湿度

ある温度の空気が限界まで含める水蒸気の量(=飽和水蒸気量)に対する、その時に含んでいる水蒸気の量との割合を相対湿度(%RH)といいます。・・・<割合>

1.空気中の水蒸気の質量を減らし、絶対湿度を下げる方法(下図OA⇒A点)

下図OA(25℃・60%RH)地点⇒A地点への変化では、相対湿度は60%RHから40%RHに下がっています。
乾球温度は同じで、絶対湿度だけが減少したのが分かります。
コップの大きさは同じですが、コップの中の水の量だけが減ったのと同じです。

絶対湿度

乾き空気1kgに対する水蒸気の質量との割合を絶対湿度(kg/kg(DA))といいます。・・・<重量>

2.空気中の水蒸気の質量は同じでも、加温することで相対湿度を下げる方法(下図OA⇒B点)

下図OA(25℃・60%RH)地点⇒B地点への変化も、相対湿度は60%RHから40%RHに下がっています。
絶対湿度は同じで、乾球温度が32℃に上がっています。
コップの中の水の量は同じですが、コップの大きさが大きくなったのと同じです。
絶対湿度を下げながら、加温すると、相対湿度はさらに下がるということです。

 

除湿の目的、理由

日常生活での除湿の目的は、以下の理由が多いです。

  1. 湿度が高いことによる蒸し暑さや不快感の低減
  2. 湿気による結露やカビの発生防止
  3. カビによる臭いや健康障害の防止

製造プロセスでの除湿要求は、大別すると以下のようになります。

  1. ある湿度以下に保ちたい。 例)40~50%RH、60%RH以下
  2. 低湿状態に保ちたい。 例)30%RH以下、露点-40℃

製造プロセスの除湿目的をさらに詳しく分類すると、おおよそ以下のようになります。

1. 腐食防止 腐食による錆び、外観の劣化
2. 結露防止 結露によるカビの発生、電気的短絡事故
3. 粘度管理 高湿による粘性の低下、垂れ、滴下不良
4. 吸湿防止 吸湿による重量変化、収縮率変化、変質
5. 粉体管理 粉体搬送時の付着・目詰まり・ダマ、成形不良
6. 性能品質 微小な水分で性能品質が低下
7. 衛生管理 ウイルス・雑菌の増殖防止

代表的な除湿用途

金属の腐食・錆び防止 精密金型、プリント基板、リードフレーム、メタルマスク、IC
結露による短絡防止 プリント基板、マイクロチップ、電気回路、制御盤
粘度管理 レジスト液、クリーム半田、ペースト材料、接着剤、硬化剤
吸湿による膨張変質 高分子化合物、高機能フィルム、モールドパッケージ、封止材
吸湿による重量変化 医薬品・化学品の秤量、配合、保管
吸湿による変質 粉体薬品原料の保管庫、製粉・製菓、電極材、文化財・書物
成形不良 打錠機の錠剤
粉体 化学薬品、小麦粉、セメント
性能品質 リチウムイオン電池
ウイルス・雑菌の増殖 食品加工、調理工程、製薬・製剤後の貯蔵

代表的な除湿方法

製造プロセスにおけるFA市場では、おもに以下の除湿方法が導入されています。

1.コンプレッサ式

コンプレッサ式冷却装置とは、いわゆる冷凍サイクルを持つエアコン、クーラーのことです。冷凍サイクルによる除湿方法を冷却除湿と呼んでいます。
ジメジメした夏の時期にクーラーを運転すると、冷風で室内は涼しくなり、同時に室内の湿気は奪われ、室外にドレン水として排水されます。一般的なエアコンには3通りの除湿方法があります。

2.ペルチェ式

半導体ペルチェ素子を利用し、ペルチェ効果によって冷やされた冷却面に湿り空気が触れることにより、空気中の水分が凝縮し、ドレン水となって除湿されて排出される構造です。
おもに、小型ボックス、筐体の冷却除湿用途に利用されています。

3.吸着式

乾燥剤と呼ばれる化学吸着材を設置する除湿剤タイプ、乾燥材をハニカム式ローターに埋込み、ヒーターなどで加熱再生するデシカント式等があります。
乾燥剤には、シリカゲルやゼオライトなどが使われています。

アピステ製品で除湿ができるモデル

1.コンプレッサ式冷却除湿モデル

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2.ペルチェ式冷却除湿モデル