空調関連 用語集

空調に関連する用語を掲載しております。

ア行

アキュームレーター 冷凍サイクル内で、蒸発しきれなかった液冷媒が圧縮機に液バックすることを防ぐための部品のこと。
圧縮機(コンプレッサー) 冷凍サイクルにおいて、蒸発器から出てきた冷媒を圧縮し、圧力と温度を上昇させる部品のこと。
圧力損失 水や空気などの流体が配管経路内を流れる時、流体の圧力は配管経路の断面積、長さ、内部抵抗によって上流から下流に行くにつれ小さくなる。この時に発生する圧力差のこと。
インダストリアルクリーンルーム 主に半導体・液晶・電子部品・精密機器などの工業分野向けのクリーンルームのこと。空気中の浮遊粒子が対象。
ULPAフィルター ULPAフィルターは、Ultra Low Penetration Air Filterの略で、JIS規格では「定格風量で粒径が0.15 µmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が300Pa以下の性能を持つエアフィルター」と規定されている。(JIS Z 8122)
エアーシャワー クリーンルームの前室に設置され、塵埃などの汚染物を高圧のエアーで吹き飛ばして集塵し、クリーンルームやクリーンブース内に持ち込ませないための装置のこと。
オゾン破壊係数(ODP) 大気中に放出された気体物質が成層圏にあるオゾン層を破壊する強さを示す指標。
温度校正 温度を測定する測定機や温度センサー、温度を調節する温調器、温度をコントロールする空調機などに生じた基準となる温度とのずれを修正すること。

カ行

外気導入 外気を取り入れ、常に換気を行いながら空調すること。ただし外気導入しながら空調をすると、取り込む外気の温湿度で室内の温湿度が影響を受ける。
乾き空気 水蒸気を全く含まない空気のこと。
換気 室内の汚れた空気を室外の新鮮な空気に入れかえ、循環させること。
換気回数 空間内の空気が一定の時間の間に入れかわる回数のことで、1時間に空間内に入る空気量(換気量)を空間の容積で割った値。単位は[回数/h]。換気回数は、建物などは建築基準法、クリーンルームなどはFED-STDやJISなどで規定されている。
乾球温度 水銀やアルコールを封入した棒状温度計(乾球温度計)で測定した温度のこと。日常生活で使っている温度(気温)はこの乾球温度を指す。
単位は[℃ DB]。※DB:Dry Bulb
気流(気流速度) 一般的には温度や地形の変化によって大気中に起こる空気の流れのことで、空調分野では送風機などが作り出す空気の流れのことを指す。気流速度はその空気の流れの速さのことで、単位は[m/s]。
機外静圧 送風機を組み込んだ空調機などにおいて、空調機の吹出口で保有する静圧のこと。この機外静圧が圧力損失よりも小さい場合には、空気をダクト内に流すことはできない。
吸着式除湿 シリカゲルやゼオライトなどの吸着剤を介して除湿を行うこと。
凝縮器(コンデンサー) 冷凍サイクルにおいて、圧縮機から吐出された高温高圧のガス冷媒を外気または水を利用して放熱し、冷媒を凝縮液化させるための熱交換器のこと。
局所排気 実験室や工場などで発生する、有害・悪臭ガスなどの物質を作業者が吸い込まないために、ダクト・排気ファンで屋外に排出すること、またはその装置。局所排気装置は、労働安全衛生法によって規定されている。
空気線図(h-x線図) 大気圧条件下での湿り空気の状態値を表す二次元線図で、乾球温度・湿球温度・相対温度・絶対湿度・露点温度・比エンタルピーなどが表されている。一般的に空気線図は湿り空気線図(h-x線図)を指す。
空気調和の4要素 温度、湿度、清浄度、気流のこと。この4要素を調整することにより、用途や目的に応じた環境が作り出せる。
空調 空気調和の略語。空気を目的に応じた最適な状態に調整すること。
クリーン規格 空気中の粒子数を表す指標で、クリーンルーム内の空気の清浄度を示す重要な基準。
クリーンブース 高性能なHEPAフィルターにより、空気中の微細なホコリや塵、異物などを排除し、一定の清浄度を保った空間、およびそれを保つための装置のこと。おもにコンタミネーション防止が目的。構造としては、柱/フレームに天板を載せ、周囲を透明ビニールシートでカバーし、天井部にFFUを搭載している。
クリーンベンチ 作業テーブル上をパネルやシートで囲い、HEPAフィルターからのクリーンエアーで空気中の微細なホコリや塵、異物などが付着・侵入しないように管理された簡易的な空間、または装置のこと。
クリーンルーム 空気中の浮遊微粒子、浮遊微生物が限定されたレベル以下の清浄度に管理され、不純物や異物を持ち込まないようにコンタミネーションコントロールが行われ、必要に応じて温度・湿度も管理されている部屋のこと。
結露 空気中の水蒸気量がその時に含みうる限界を超えて、ガラスや金属などの固体と接触する表面に水滴となって現れる現象のこと。
顕熱 物質から熱が移動する際に、温度変化にのみ使われる熱のこと。
恒温恒湿 ある目的のために長時間、温度を一定に維持することを恒温といい、さらに温度・湿度を一定に維持することを恒温恒湿という。
個別空調 個々のフロア/工程/ルーム/装置ごとに個別の空調機を設置し、自由に温度・湿度コントロールを実現できる空調システムのこと。
コンタミネーション 半導体・電子部品・精密機器・食品など製造工程や実験環境などで異物・不純物・微生物・化学物質などが混入すること、汚染されること。

サ行

再現性 同じ条件や手順で行った実験・評価・測定において、同じ結果や事象、測定値になること。測定結果のばらつき、精度を表す。
産業空調 人以外の動物の飼育、原材料などの製造品質や生産性の向上を目的とした空調のこと。
湿球温度 棒状温度計の感温部を湿らせて測定した温度のこと。水分が蒸発する際に奪う潜熱分だけ乾球温度よりも低い温度となる。単位は[℃ WB]。
※WB:Wet Bulb
湿り空気 空気中に水蒸気を含む空気のこと。
蒸気式加湿 容器内の水を電気ヒーターなどで加熱蒸発させ、その水蒸気で加湿すること。
蒸発器(エバポレーター) 冷凍サイクルにおいて、低温低圧の冷媒を熱を奪うことで液体から気体に蒸発させ、その際の蒸発潜熱により対象物から吸熱することで、冷却するための熱交換器のこと。
侵入熱 室外から室内に侵入しようとする熱のこと。室外の方が室内より温度が高い時に温度の低い室内側への熱の移動(侵入)が発生する。
静圧 風が静止した状態で周囲を押す力のこと。単位は[Pa]。
正圧(陽圧) 筐体内の空気圧が外部よりも高い状態のこと。
制御風速 局所排気装置を稼働させた時、有害物の飛散を防ぐために必要な風速のこと。
清浄度(クリーン度) クリーンルームやクリーンブースなどの対象空間内の浮遊微粒子の数や大きさを表す指標のこと。
精密空調機 特殊な冷凍サイクルを搭載し、局所空間の温度、湿度、クリーン度を超高精度に管理できる空調機のこと。クリーンルーム用の大型空調機と比較すると、局所空調のため制御精度が高く、導入費用やランニングコストの低減につながりやすい。さまざまな製造工程ごとに、個別の製造条件管理ができる点も大きな特徴となっている。
絶対湿度 水分(水蒸気)を全く含まない乾き空気1kgに対して含まれる湿り空気中に含まれる水分(水蒸気)の重量の割合のこと。単位は[kg/kg(DA)]。
全圧 風の持っている全ての圧力で、静圧+動圧=全圧となる。
全体空調 室内全体やフロア全体の空間を均一な条件に空調すること。特に半導体・電子部品・精密機器・医薬品などの製造工程では、製品の品質や性能を保証し、歩留まりを安定させるために、工程/フロア/建屋全体を同一空調レベルで温度・湿度コントロールする。
潜熱 物質から熱が移動する際に、物質の状態変化にのみ使われる熱のこと。
相対湿度 ある温度の空気が含みうる限界の水分量(飽和水蒸気量)に対して、現状含んでいる水分量を比較した比率のこと。[%RH]で表す。日常使っている湿度は相対湿度のこと。
層流 送風機などで空気が流れる時に、激しく乱れたり、不規則な変動がない安定した流れのこと。

タ行

代替フロン 特定フロンの後に開発され、塩素を含まず、オゾン層を破壊しないHFC(ハイドロフルオロカーボン)のこと。特定フロンと区別するために代替フロンといわれる。
地球温暖化係数(GWP) 二酸化炭素を1とした場合の温暖化影響の強さを表す指標のこと。
デシカント もともとは湿気を吸収する酸化カルシウムやシリカゲルなどの物質、乾燥剤のことで、空調分野では化学吸着式の除湿装置のことを指す。
動圧 単位体積あたりの流体の運動エネルギーを圧力の単位により表したもの。単位は[Pa]。
特定フロン フロンの中で塩素を含み、オゾン層を破壊するフロンのこと。CFC(クロロフルオロカーボン)とHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の2つに大別される。
ドライルーム パネルで区切られ徹底した湿度管理された専用のルームのこと。強力な除湿機による乾燥空気で低露点環境を実現する。特に超低露点環境が必要なリチウムイオン電池、キャパシタ、有機ELなどの製造工程、腐食や化学反応を嫌う材料や化学薬品などの製造・保管には低湿環境のドライルームが必要となる。
ドラフトチャンバ― 研究室や実験室などで、作業中に発生する有害ガスや揮発性有害物質から、作業者の安全と室内の汚染防止のために用いる局所排気装置のこと。
トレーサビリティ 原料や部品、製品がいつ、どこで、だれが、どんな環境で製造されたかの情報(履歴)を残すことで、原材料の調達から生産、消費および廃棄までの各工程を追跡可能な状態にすること。特に原材料や製品に問題が発生した場合の原因追及する仕組みとして、品質や安全管理面から、食品や医薬品をはじめ、自動車や電子部品、運送業など幅広い分野で重要度が増している。

ナ行

熱伝達 異なる物質間で熱が伝わっていく現象のこと。
熱伝導 固体または液体の内部で熱が伝わる現象のこと。
熱平衡 温度の違う物質間で熱の移動が完了し、両者の温度が等しくなった状態のこと。
熱放射 熱が放射線(電磁波)によって運ばれる現象のこと。
熱膨張係数 温度上昇によって物体が膨張する割合を温度あたりで示した定数のこと。長さの変化は線膨張係数、体積の変化は体積膨張係数で示されることが一般的である。
熱力学の第一法則 熱と仕事は同じエネルギーであり、エネルギーの総量に変化はないという法則。
熱力学の第二法則 温度は高い方から低い方へ自然に移動するが、低い温度を高くするためには必ず外部から熱エネルギーを加えなければならないという法則。
ノンフロン冷媒 フロンを利用しない冷媒のこと。アンモニア・ CO2などの自然冷媒やHFO冷媒(ハイドロフルオロオレフィン)が含まれる。日本ではフロン排出抑制法対象外の冷媒とされており、オゾン層破壊係数(ODP)が0、地球温暖化係数(GWP)がフロンに比べて非常に低い冷媒となる。

ハ行

パーティクルカウンター クリーンルーム内の塵埃などの微粒子(パーティクル)の個数を計測する装置のこと。
バイオロジカルクリーンルーム 主に医薬品・遺伝子工学・バイオ・手術室などの医療食品分野向けのクリーンルームのこと。空気中の浮遊微生物が対象。
パスボックス クリーンルームに材料や機器・機具を持ち込む際に、塵埃やパーティクルなどのクリーンルーム内への侵入を防止するための二重ドア付きの箱形の装置のこと。
P-Q線図 送風機の性能を示すグラフのことで、縦軸に静圧、横軸に風量を示し、空気の流れやすさと風量の関係を表す。静圧・風量特性図などともいう。
比エンタルピー 1kgの物質が保有する熱量のこと。単位は[kJ/kg]。
必要風量 必要換気回数(回/h)× 空間容積 で求められる風量。
比熱 物質1kgの温度を1K(1℃)上げるために必要な熱量のこと。単位は[kJ/kg・K]。空気の比熱は1.0、水の比熱は4.2。
ファンフィルターユニット(FFU) ファン付きの高性能(HEPA)フィルターユニットのこと。クリーンルームやクリーンブース、精密製造装置の天井に設置し清浄空気を吹き出してクリーンな環境を作る装置。
風速 空気の単位時間あたりの速さのこと。単位は[m/s]。
風量 空気の単位時間あたりに流れる体積のこと。単位は[㎥/s]。風速×通過する断面積[㎡]で求められる風量。
FED STD 米国連邦規格。クリーンルームの空気清浄度規格として初めて制定された規格。
沸点 物質が液体から気体に状態変化し始める温度のこと。
フロン 冷媒として用いられる炭素とフッ素の化合物のこと。
HEPAフィルター HEPAフィルターは、High Efficiency Particulate Air Filterの略で、JIS規格では「定格風量で粒径が0.3 µmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター」と規定されている。(JIS Z 8122)
飽和空気 空気が水蒸気として含める限界に達したもの。
飽和空気線 乾球温度ごとに空気が含むことのできる最大の水蒸気量を示した曲線のこと。
飽和水蒸気量 ある温度の空気が含みうる限界の水分量のこと。
保健空調 人の快適性や健康維持を目的とした空調のこと。

マ行

水式加湿 空気中に水を噴霧し気化させることにより加湿すること。

ラ行

乱流 送風機などで空気が流れる時に、激しく乱れたり、方向が定まらない不規則な流れが生じること。
臨界点 物質の温度と圧力を変化させる時、液体や気体の状態ではなく連続的に変化するようになる点。
冷却除湿 エアコンなどの空調機で空気を冷却すると、相対湿度100%の飽和状態に達し、空気中で水蒸気を保持できなくなり、水滴になって除湿されること。
冷凍サイクル 空調機などの基本原理でモノを冷やす仕組みのこと。熱交換と熱の運搬の役割をする冷媒を、密閉の冷凍回路内で、圧縮・凝縮・膨張・蒸発のプロセスにより、圧力や温度を変化させ、吸熱(=冷却)と放熱を連続して行う循環サイクルのこと。
冷媒 冷凍サイクル内で、熱交換と熱を運ぶ役割をする物質(媒体)。液体の状態では対象物から熱を奪って蒸発し、対象物を冷却する。
露点温度 飽和空気の温度が低下し、保持できない水蒸気が水滴として、物質表面に付着する結露が発生しはじめる温度のこと。単位は[℃ DP]。
※DP:Dew Point