チラーの循環液とは?主な種類と選び方、冷却水など似ている用語との違い

原料の温調や熱源を持つ機器の冷却に欠かせないチラー。チラーは循環液と呼ばれる液体を循環させることで対象の温度を調整しています。

チラー自体は現場関係者にとって身近な機器ですが、これからチラーについて詳しくなろうとしている方にとっては、循環液の仕組みや種類は少し複雑に感じるのではないでしょうか?

今回は、チラーの循環液の仕組みと役割、似た用語の使い分け、循環液の種類と特徴、チラーの循環液を選ぶポイントについてご紹介していきます。

目次

1.チラーの循環液とは?仕組みと役割

まずは、チラーの循環液の意味と、チラーにおける循環液の働きを確認しておきましょう。

循環液の意味と似た用語の使い分け方

チラーの循環液とは、チラーや熱源、装置間を循環している液体の総称になります。

明確な定義がないため、「循環水」「チラー水」「冷却水」など別の名称で記載されるケースも多く、慣れない仕様図や系統図では紛らわしさを感じる方もいるのではないでしょうか。

例えば、循環液と冷却水は同義語として使用されることもありますが、チラーから見た場合は「チラーを起点に循環する液体」として「循環液」、熱源から見た場合は「冷却してくれる液体」なので「冷却水」と書き分ける場合もあります。

本記事では、「チラーから見た場合」を基準として、各液体について解説していきます。

<本記事での定義>

循環液 チラーから排出され戻る、対象物の温調を行う液体
循環水 循環液のうち水系のもの
チラー水 循環液、循環水の別称
冷却水 チラー内部の冷媒を冷却する液体

チラーの仕組みと循環液の働き

チラーが対象物を冷やす仕組みは、まず循環液を内部で冷やし、低温になった循環液と熱を持った対象物を熱交換させて冷却します。熱交換で温まった循環液はチラーに戻り、内部で再び冷却されます。

<チラーの構造図 空冷式チラーの場合>

※ここでは循環液を循環水で記載しています。

また、循環液には多くの種類があり、水道水やイオン交換水などの水系、不凍液系、アルコール系、フッ素系など多種多様です。特徴を調べて用途や社内基準に合ったものを選びましょう。後ほど詳しくご紹介します。

2.水系循環液(循環水)の主な種類と特徴

チラーの循環液は、水系、不凍液系、アルコール系など様々な種類がありますが、室温近辺の温調(10℃まで)では水系の循環液を使用するのが一般的です。

主な水系の循環液には水道水と精製水があり、どちらも粘度が低く熱容量が大きいため、循環ポンプやチラーの冷却能力を最大限に活かすことができます。

水道水

水道水は最も手軽に入手できて水質、水量とも安定しており、塩素を含むため腐りにくいという特徴があります。

しかし、季節による水温の変動が大きく、低温環境には向きません。また、ミネラル分などの不純物を含むため、脱イオン水よりも電気伝導率が高いので注意が必要です。

精製水

精製水は水道水を蒸留やろ過、イオン交換などで精製して不純物を取り除いた純度が高い水です。不純物が少ないため、スケールが発生しにくく電気伝導率も低いのが特徴です。

精製水は精製方法によって、蒸留水、イオン交換水、RO水、純水の4つに大きく分けられます。

①.蒸留水

蒸留水は水道水を沸騰させた水蒸気を冷却して精製した水です。不純物除去の他、微生物の発生を招く有機物も除去されるため腐りにくいと言われています。

②.イオン交換水(脱イオン水)

脱イオン水とも呼ばれるイオン交換水は、水道水をイオン交換樹脂のろ過材に通して精製した水です。水中のイオン成分が取り除かれて、最も熱伝導率が低い水質になっています。

③.RO水

水道水を逆浸透膜(RO膜)に通して不純物を取り除いた水がRO水です。一般的なろ過では残ってしまう微細なウイルスも除去できるため、無機イオン化物質などによるスケールや腐食トラブルにも効果が期待できます。

だたし、精製水の不純物濃度は製造業者によって独自の基準が設けられていることがあるため、目的や用途に適するものか、内容をよく確認して選ぶようにしましょう。

④.純水

精製水のうち、高純度の水が純水と呼ばれるものです。不純物が除去されているため、不純物が溶け込みやすく、精密機器の洗浄水としても活用されています。

純水の中でも、不純物をまったく含まず、以下の数値に限りなく近い水は超純水と呼ばれています。

  • ・導電率…約0.055uS/cm(25℃)
  • ・比低効率…18.24MΩ・cm

3.低温用熱媒体の循環液(循環水)の主な種類と特徴

低温恒温水槽などでチラーの循環液を10℃以下に設定する場合は、水系ではなく低温用熱媒体の循環液を使用します。

扱いやすいメタノールなどのアルコール系循環液が長く使われてきましたが、引火の危険性などから避ける企業が増え、安全性の高いナイブライン®やエタブライン®などが主流になりつつあります。

メタノール・エタノール

メタノールとエタノールはアルコール系循環液の代表ともいえる2種で、10℃以下の温度帯で濃度を60wt%未満にして使用します。

安価で入手しやすく、低温域でも流動性が良いため循環ポンプやチラーの能力をしっかり発揮できます。しかし、気化しやすく、メタノール12℃・エタノール13℃と引火点が非常に低いため、温度や火気には十分に注意しなければなりません。また臭気を伴うため換気も重要です。

エチレングリコール

エチレングリコールはアルコールの一種で、水に混ぜることで凝固点を下げる働きがあり、不凍液としてよく知られています。安価で入手しやすく、無味無臭、引火点も121℃と高いので取り扱い上の安全性は高いといえます。

低温になるほど粘度が増加する特性があり、-10℃から+10℃の温度帯では濃度を10wt%~30wt%の間で調整するなど、温度に合わせた希釈をすることが大切です。

また、イオン交換水に添加すると流体の抵抗値を上げる働きをするので、絶縁性の高い循環液として重宝されています。

ナイブライン®Z-1

ナイブライン® Z-1は、エチレングリコールを主成分に防錆剤、防腐剤などを添加したものです。腐食性が大きいエチレングリコールの欠点を改善して金属配管に配慮した媒体です。

さらに、エチレングリコールより幅広い-40℃から+60℃の温度帯で使用することができる上、引火点がない、PRTR法に抵触しないなどのメリットがあります。

ナイブライン®NFP

ナイブライン®NFPは、防腐性や防錆性を高めた伝熱媒体です。食品関係の用途に応えるため、毒性のあるエチレングリコールではなくプロピレングリコールを使用した安全性の高い媒体です。

Z-1同様に金属に対する腐食性に優れ、非引火性。-40℃~+110℃と、使用できる温度帯の幅も広く、冷媒だけでなく熱媒としても使用が可能です。

エタブライン®EC-Z型

アルコール系のエタノールが主成分ですが、60wt%未満の低濃度で引火点も23.8℃と高めのため、消防法上の危険物には当たりません。

粘度が低く、マイナス温度域でも粘度変化が少ないため扱いやすい媒体です。

4.チラーの循環液を選ぶポイント

これまでご紹介した通り、チラーの循環液には様々な種類がありますが、どの循環液を使用するかは以下のポイントを考慮して選定します。

  • ・設定温度
  • ・電気伝導度
  • ・絶縁性
  • ・入手性
  • ・衛生面
  • ・社内規定や安全性

例えば、室温付近の温調は水道水を、10℃以下の温調はグリコール系やアルコール系熱媒体を使用するなど、設定温度によって選定するのが一般的です。しかし、安全性を加味すると、引火点が低いアルコール系は避けた方が良いでしょう。

また、配管内の腐食やスケールの発生、微生物の繁殖などを抑えるため、チラーの循環液は6カ月程度で交換することが推奨されています。前回の交換から半年経っている場合は、上記のポイントを踏まえて循環液を選択しましょう。

5.まとめ

チラーなどの工場設備間を循環する液体を「循環液」と総称します。そのため、チラーから循環している液体という意味で「チラー水」、熱源を冷やすという意味で「冷却水」などと呼び分けることもあり、使用するシーンや主語によって呼び方は変動します。

チラーから見た場合は、循環液と循環水、チラー水が同じ意味を持ち、冷却水は冷媒を冷やす液体という意味です。

チラーは、内部でこの循環液を冷却しており、熱源と循環液を熱交換させて冷却する仕組みです。

この循環液は水系、低音用熱媒体の大きく2つに分けられますが、細かく見ると数多くの種類があるため、設定温度や引火点、安全性などを加味して選択するようにしましょう。

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