既設チラーの電力を省エネ化する方法

工場の省エネ化はすべての管理者が抱える大きな課題のひとつです。特に気温が上昇する夏場の冷却機器は負荷が大きく、チラーの消費電力が気になってしまう方も多いのではないでしょうか。

最新の高効率機器に更新すれば手軽に省エネが叶いますが、それには高いコストがかかり、既存のチラーに十分な寿命が残っている場合は現実的ではありません。

今回は機器の入れ替えをせずに、設定や調整によって既存のチラーの消費電力を削減する方法をご紹介します。

目次

1.チラーの消費電力は様々な方法で節約できる

チラーの消費電力を抑えたい場合、まず節電能力の高いインバータ式や省エネ重視の最新機器への乗り換えを検討するという方も多いかもしれません。

しかし、それには高いコストや手間がかかり、入れ替え時はチラーが使用できないため周辺機器の稼働にも影響します。既設チラーの寿命がまだ見込めるときは、機器の更新を急がずにまずは今できることを試してみましょう。

チラーの冷却能力は、循環水出入口の温度設定や流量の調整などによって効率化できます。使用環境に対して無駄のない設定になっていないか、詳しく見直すことが省エネの第一歩になります。

それでは、次章からチラーを省エネ化する3つの方法について詳しくご紹介します。

  • ・循環水の設定温度を変更する
  • ・流量を調整する
  • ・制御システムを導入する

2.【方法1】循環水の設定温度の変更

チラーは、循環水の入口と出口の温度差が少ないほどエネルギー消費効率(COP)が向上するため、使用状況に応じて必要な温度を確認し、温度差が最小限になるように設定し直すと節電には効果的です。

東日本大震災調査支援本部節電支援部会の節電対策資料では、循環水出口温度の設定を5~7℃から9~10℃に変更すると6~8%の電力削減が期待できるとしています。

ただし、チラーの温度設定の変更は負荷時と軽負荷時における制御能力を正確に把握していないと実施できません。場合によってはメーカー立ち合いになると覚えておきましょう。

3.【方法2】流量調整

チラーの省エネ化では循環水の流量調整も有効な方法です。

流量の初期設定はピーク時を想定して実際の必要量より余裕をもたせるのが一般的なので、実態に合った少ない流量に再設定するとポンプ動力の負荷が減り、節電につながります。

また、不適切な流量設定は余計な負荷を生み出す原因でもあります。もし、設定値よりも実際の循環流量が多い場合は、チラーに大きな負荷がかかり十分な冷却能力が得られず、電力を必要以上に消費します。

チラーの冷却能力や電力消費量に違和感があるときは、流量設定の再確認や調整、熱源機の出口温度など温度プロフィールを見直すと改善できるかもしれません。

4.省エネ化の基本は定期的なメンテナンス

このようにチラーの省エネ化にはいくつかの方法がありますが、一番の基本は定期的なメンテナンスです。

たまった汚れや老朽化した部品は熱交換効率や全体の性能を低下させ、無駄な電力を消費させます。フィンや配管、熱交換器は定期的に点検・洗浄し、運転時間に応じてオーバーホールも行いましょう。

チラーの点検・メンテナンスはフロン類の漏えい防止のために法律で義務化されていますが、事故防止以外にも耐用年数の増加とランニングコストの削減という大きなメリットがあります。

設備の更新には大変な手間と高い投資費用が必要ですが、こまめな点検が既設チラーの寿命を延ばし、長期的にみた場合の全体コストを抑えることになるのです。

5.まとめ

既存チラーの消費電力を抑えるには様々な方法があります。循環水の入口・出口温度や流量を使用状況に合わせた設定に調整するのがチラーの省エネ化には有効ですが、設定変更が難しい場合には制御システムの導入も検討してみましょう。

ただし、チラーの省エネの基本はメンテナンスです。蓄積した汚れや劣化した部品は無駄な消費電力を生み出し、設備寿命を縮める原因になります。定期的な点検で機器の状態を良好に保つことが節電の一番のポイントであり、全体のランニングコスト削減につながります。

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