工場の冷却機器の種類と仕組み

『チラー便覧2』を読む

製造機器や原材料の効率的な冷却は、工場の生産性を維持し、業務を安定させるために大切な工程のひとつです。冷却機器は構造や原理を理解し、特性に合わせて適切に使用することが重要です。

今回は、冷却機器の種類や構造についてわかりやすく解説していきます。

目次

1.工場の冷却機器

工場で使用される冷却機器として以下の4種類を紹介します。

  • ・空冷式熱交換器(空冷ラジエータ)
  • ・水冷式熱交換器
  • ・クーリングタワー
  • ・チラー

冷却する仕組みや用途、設置場所など、それぞれの冷却機器が持つ特徴は大きく異なります。次章から詳しく見ていきましょう。

2.空冷式熱交換器(空冷ラジエータ)

周囲の空気を冷媒として使用する熱交換器のことを「空冷式熱交換器」といいます。空冷式熱交換器は空冷ラジエータとも呼ばれ、石油コンビナートやゴミ焼却プラントなど、大規模な熱が発生する施設で使われることが多い冷却機器のひとつです。

管束(フィンとチューブなど)とファンを基本構造としており、冷却対象の流体を管束に流し、管束にファンで送風して、流体と空気の温度差をつかって冷却します。

空冷ラジエータを使用した場合の冷却配管系統図例は以下のようになります。

3.水冷式熱交換器

水冷式熱交換器とは、2系統の流体を混合することなく効率よく熱交換できるように設計された熱交換器のことです。もっとも身近といえる冷却機器のひとつで、自動車のエンジン冷却などにも使われるため、実際に目にする機会も多いかもしれません。

一定温度以下の一次冷却水(チラー水や工業用水など)と冷却対象となる二次冷却水が、機器の中を循環し、熱交換する仕組みになっています。

水冷式熱交換器を利用した場合の冷却配管系統図は、次のようになります。

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4.クーリングタワー

次に、大規模な工場施設などで使用されることが多いクーリングタワーについて説明します。

クーリングタワーは冷却塔とも呼ばれる工業用水に使用される冷却装置のことです。循環水と外気を直接接触させることにより、一部の循環水が蒸発する際に生じる「潜熱」を利用して残りの循環水を冷やす仕組みです。

「潜熱」とは、物質が変化するときに必要とされる熱エネルギーのことで、水では蒸発に伴う気化熱と氷が溶ける際に生じる融解熱のことを指します。

循環水が外気にふれて蒸発するときに気化熱が必要になり、残りの循環水から熱を奪います。クーリングタワーでは1%の循環水が蒸発する潜熱のエネルギーで残りの循環水を約5.4℃下げることが可能です。

5.チラー

チラーとはクーリングタワーと同様に工業用水の冷却に使用される冷却装置のひとつですが、冷却だけではなく温めるチラー機器もあり、産業機器や理化学機器などその用途は様々です。

一般的には冷やす目的に使われることが多いため、温度を一定に保つ装置の総称としてチラー(chiller=冷やすもの)という名前が使われています。

チラーの構造は、冷媒が循環する冷凍サイクルと、冷水が循環する循環水回路の2つからできており、冷媒の冷却方法として空冷式と水冷式があります。

空冷式チラーはファンで外気と熱交換して室内に排熱するため室温管理が必要になりますが、冷却用水の配管がいらないため設置が容易で、保守管理も簡単です。

一方、水冷式チラーは冷却水を引くための配管設備が必要になりますが、空冷式よりもさらに冷却効果が高く、室内への排気や排熱もないので室内環境をクリーンに静かに保てます。

チラーについてさらに詳しく知りたい方は下記のページを参考にしてみてください。

6.まとめ

工場の主な冷却機器には、空冷式熱交換器(空冷ラジエータ)、水冷式熱交換器、クーリングタワー、チラーなどがあります。それぞれにメリットとデメリット、特性があるため、環境に適した冷却機器を導入することが大切です。

例えば、工場の工業用水を低コストで冷却したい場合は、潜熱を利用する消費資源の少ないクーリングタワー、年間を通して安定した冷却能力を求める場合は温度設定が可能なチラーなど、自社の環境や目的に合わせて選ぶといいでしょう。

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