制御盤用熱交換器とは
制御盤用熱交換器とは、制御盤内の空気と外部の空気を熱交換させ、制御盤内の熱を外部に放出する冷却機器です。
制御盤用熱交換器に似た冷却機器として制御盤用クーラーが挙げられます。どちらも制御盤内の温度を下げるための冷却機器ですが、制御盤用熱交換器は制御盤外部の空気と熱交換を行うことで制御盤内の冷却を行うため、外気よりも低い温度へ冷却することはできません。
一方、制御盤用クーラーは家庭用のエアコンと同じく、制御盤内の空気を任意の温度に冷却し、一定に保つことができます。
どちらも制御盤内を密閉し冷却する機器ですが、盤内の発熱量や設置環境に合わせて選択する必要があります。
制御盤用熱交換器の種類と原理
制御盤用熱交換器には、プレート式とヒートパイプ式があります。
プレート式
プレート式は、金属プレートを折り返した構造になっており、制御盤内の温かい空気と冷たい空気が間接的に接触することで熱交換を行う方式です。伝熱面積が大きく、高い熱交換効率を発揮しますが、その分、伝熱面積を確保する必要があるため、筐体が比較的大きくなる傾向があります。

ヒートパイプ式
ヒートパイプと呼ばれる真空状態のパイプ内部に純水の作動液を封入し、その純水の蒸発と凝縮による熱移動を利用して熱交換を行います。周囲温度と制御盤内温度の差に依存するものの、比較的高い熱交換効率を有し、プレート式と比べて小型・軽量・薄型という特長があります。

熱交換器の機種選定方法
熱交換器の機種選定を行う際は、まず必要定格能力 [W/K] を算出します。
算出した定格能力よりも大きい定格能力の機種を選定する必要があります。
必要定格能力の算出方法
盤内発熱量を元に算出する場合
1. 必要となる数値を確認します。
・盤内発熱量 [単位:W]
盤内に収納されている機器の推定発熱量の合計
※各機器の発熱量は、制御盤内機器別熱量一覧を参考にしてください。
・最高外気温度 [単位:℃]
設置される環境において最も高いと想定される温度
・盤内許容温度 [単位:℃]
許容可能な盤内温度
・制御盤有効表面積 [単位:m2]
対象となる制御盤の表面積 (自立盤の場合には底面を除いた表面積。)
2. 上記の数値を下記計算式に入れて、必要定格能力を計算します。
[W/K]=
盤内発熱量 [W] |
盤内許容温度 [°C]-最高外気温度 [°C] |
※熱通過率は一般的な制御盤の場合、通常は5.0~6.0です。
盤内温度と外気温度を元に算出する場合
1. 必要となる数値を確認します。
・盤内温度(測定値) [単位:℃]
対象となる制御盤の盤内温度
・外気温度(測定値) [単位:℃]
制御盤が設置される環境の温度
・最高外気温度 [単位:℃]
設置される環境において最も高いと想定される温度
・盤内許容温度 [単位:℃]
許容可能な盤内温度
・制御盤有効表面積 [単位:m2]
対象となる制御盤の表面積(自立盤の場合には底面を除いた表面積)
2. 上記の数値を下記計算式に入れて、必要定格能力を計算します。
[W/K]=
( |
盤内温度(測定値) [°C]-外気温度(測定値) [°C] | -1 | ) |
盤内許容温度 [°C]-最高外気温度 [°C] |
※熱通過率は一般的な制御盤の場合、通常は5.0~6.0です。
上記で定格能力が算出できたら、その能力よりも大きい定格能力の機種を選定してください。
お客様の条件に合った制御盤用熱交換器をかんたん3ステップで選定いたします
このように、制御盤用熱交換器の選定には、盤内発熱量や制御盤有効表面積などの計算が必要になりますが、アピステの「制御盤用熱交換器 機種選定ガイド」では、制御盤のサイズや盤内収納機器類、ご希望の盤内温度等をご入力いただくことで、必要定格能力を自動で計算し、最適な機種を選定することができます。
機種の選定でお悩みの方や、必要定格能力を計算したい方など、ぜひ機種選定ガイドをご利用ください。
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